第896話 コンビニに行くためのパーティーメンバーは? ④
「そういうことなら、お願いしようかな」
心の中で危険を知らせるアラームが鳴っているのが分かる。
同盟国とはいえ、他国の人間。
その思惑にタダ乗りするというのは賢い選択ではないだろう。
だが、このアラームというのも曲者だ。
危険だからといって、手を引っ込めるのが常に正しいとは限らない。
概してチャンスというものは安全な場所にはない。
むしろ、危険な場所にこそ点在しているものだ。
上手く立ち回ってみせる。
その心の囁きに従った方がいい場面もある。
「お待ち下さい。私も付いていきます。確かに戦力にはなりませんが、きっと何かの役に立つはずです。このまま、役立たずのままでは終われません」
ヨウメイが決死の覚悟で抗弁してくる。
ありがたい。
「戦力ってのは広義においては直接戦闘能力だけのことを言うんじゃないよ。ヨウメイが付いてきてくれるなら心強い。君の機転は私の思考の死角を補うはず。頼りにしてるよ、ヨウメイ」
彼女の演算能力は貴重だ。
とはいえ、メッテルニヒにやられっぱなしでは彼女の真価が出せない。
すぐさまメンタル回復のフォローに努める。
「はい。御身の盾として、御身の補佐として、誠心誠意、努めさせて頂きます」
大仰な返事が返ってきた。
現金なもので、先程までの打ちひしがれた様子もない。
「おっ、ヨウメイちゃんも回復したみたいっすね。それじゃあ、そろそろ行っちゃいましょうか」
メッテルニヒが大きく槍を旋回させると【転移】が始まる。
【アイテム】を使ったのか、【スキル】なのか、槍の【装備効果】なのかも分からなかった。
再び目を開けると、天井の高い大きな部屋の一室にいた。
床は全て大理石。照明もむやみやたらと豪華だ。
目の前には立派すぎる椅子が一脚。
わざわざ段差を付けて、非バリアフリー実現することで、その椅子に座る人物の権威を強調していた。
こういった部屋の構成に心当たりがありすぎた。
その上で、偉そうに足を組んで座っている男はとても、よく知ってる人物だ。
あまり会いたくない人物の一人である。
「貴様の登場はいつも、唐突だな、春日井」
玉座から、私にそう声をかけてきたのはプレスビテリアン帝国皇帝の我孫子だった。
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