第894話 コンビニに行くためのパーティーメンバーは? ②
そう声をかけてきたのはメッテルニヒだった。
今までどこにいたんだよ。
そんな不満をぶちまけそうになるが、鉄の自制心を駆使して抑え込む。
相変わらず、周囲になんの違和感もなく溶け込んでいる。
一応、ココは彼女に取って先日まで敵国だったはずなのだが。
まるで、最初からクロサガ王国の国民であったかのような佇まいだ。
しかし、メッテルニヒか…
正直、微妙だ。
プレスビテリアン帝国に顔が利くのは疑いない。
さらに戦力としても申し分ない。
なにせ我孫子の元パーティーメンバーだ。
未だ強さの底すら見せていない。
但し、背中を預ける護衛としてはどうなんだろう。
心中計り知れないところがありすぎる。
極端な話、その時の感情次第で、戦闘中であっても護衛の仕事を放棄してしまう可能性がある。
それも悪びれもせず。
なんというか、彼女は独自の理念で、いや独自の使命を持って動いている節がある。
だから、その使命に反すれば我孫子が相手でも一歩も引かない。
しかし、それ以外の場面では理想的な好人物を演じている。
これも厄介であくまで演じているだけなのだ。
なにせ、使命達成のためには好人物のふりをするのが最も効率がいいからだ。
逆に使命達成のために殺人鬼であることを要求されれば、なんの躊躇もなく殺人鬼になるだろう。
これまで築いてきた人間関係をいとも簡単に斬り捨て、事が完了すれば、自分の記憶にも残さない。
全ては使命の成就のために。
そういう殉教者独特の冷たい瞳を持っている。
それを隠そうともしない様子がどうしても好きになれないのだ。
単なる同族嫌悪なだけな気もするが、苦手な相手であることには間違いない。
「嫌だな~そんなに警戒しないで下さいっすよ。帰りが一緒なんでアルバイトがしたいだけっすよ。帝国とは同盟を結んだんだし、今回はほんとに水先案内人に徹するっすよ」
年末のごたごたで投稿日がずれてしまいました、申し訳ありません。ともあれ、読んで頂きありがとうございました。次回の投稿もなんとか頑張ります。
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