第888話 清水谷祥との別れ①
「真澄さんにはさ~俺ってもう必要ないんじゃない?」
少し時間を取って、じっくり考えたかった。
そう思い【セカンドワールドオンライン】へのログインを封印すると自然、オフラインの生活を過ごすこととなる。
珍しく家にいた母に半ば急き立てられるように追い出され家を出る。
担任の北大谷は親へのフォローも任せろと言っていたが、現実はこんなものだ。
朝から母と口論するのも辛い。
こうなると学校に行くしかない。
通う意味は薄いが、半ば惰性で登校すると教室で祥君に出会い、いきなりそう告げられた。
「【魔王】を配下にし、【皇帝】と同盟を結ぶ。これってもう、ハイランカーの領域じゃなくて、トップランカーの仕事だよ」
祥君の表情から感情は読めない。喜んでいるようにも見えるし、悲しんでいるようにも見える。
「配下の人間も随分、増えたみたいじゃん。俺でも掴めなかった隠し球もあるみたいだし」
それは嘘だ。本気で調べていないだけだろう。
ガズナにでも頼めば一瞬のはず。
特に偽装工作などしていないのだから。
いや、そこが本質ではないか。
同じギルドで情報共有ができていないのがおかしいのだ。
これはつまり、祥君が拗ねているのかもしれない。
「さてさて、単体戦力と総合戦力とはまた違うからね。単体戦力の強化には総合戦力の充実が欠かせない。まだまだ、祥君の領域は遠いよ」
そう私も幾多の実戦を経て、難敵とも戦った。
【白気】も【黄金気】も修得した。
ディオや羅喜の力も得ることができた。
それでも祥君の背中はまだ遠い。
祥君が本気を出せば、私など一分も保たずにPKされてしまうだろう。
それでは駄目なのだ。
故に私の強みである総合戦力の拡充にリソースを割き、私という単体戦力の増強を図る。
実際にパーティーを組めるのは5、6人が限度だ。
ならば、絶対にそのメンバーの1人には入りたい。
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