第886話 皇帝の器⑥
「この相対はお前の勝ちだ、春日井真澄。お前の希望通り、不可侵条約と軍事同盟の締結を行いこの戦いに幕を引くとしよう」
我孫子は【皇帝】に相応しい鷹揚な態度で私に告げる。
ついに、ついに、最も欲しかった結果を引き出せた。
満額回答だ。
これで皆の苦労が報われる。
皆の努力は無駄ではなかったのだ。
「ふふっ、それにしても都洲河と2人で我が陣営に現れた時は我が黒嵯峨を討ち、お主を王に据えてやろうと思っておったが、奇妙な結果になったものよ。貴様の本質は稀代の英雄。押し潰そうとすれば一層、輝きが増す。逆境が味方をし、有能な仲間が自然と集ってくる。龍を籠で飼うことなど誰にもできぬ。お前には【領土経営】も【国家経営】も枷にしかならんのかもしれぬな…」
誰に告げているのか分からないような声量で我孫子は語る。
声に出すことで、自分の思考をまとめているのかもしれない。
「だが、我が帝国において、貴様の存在は極めて危険だ。劇薬だと言ってもいい。正直、我にも扱えるのかどうか疑問だ。お前に取ってのプラスが我に取ってのプラスになりえるのかどうかも分からぬ。なぜなら、貴様は我すらも配下に置こうする極大の器を持っている。都洲河や雨佐美のように貴様という輝きに魅せられ、浅慮に走る者がいるやもしれぬ。これ以上の青田刈りを許さぬよう我等もまた、配下の者達への手綱を引き締めねばなるまい。故にお主には絶対自由権を与える。思うままに行動することを許す。逆に我が帝国、我が生徒会はお前への干渉を一切禁止する」
ぐぬぬ。
最良の結果と言ってもいいが、最悪の評価とも取れる。
過大評価されすぎているというべきか。
ここまで腫れ物扱いをされては、まともな行動なんてできないような気がするが。
読んで頂き誠にありがとうございました。次回の投稿もなんとか頑張ります。
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