第885話 皇帝の器⑤
「今の政策を維持しつつ、私の領地で実験すればいいのよ」
【高度適正判別プログラム】によって、自分の希望に反した職業人を私の領地で受け入れる。
私の領地では私の指示を聞く者がまだ少ない。
ならば、そういった非適正者を私の家臣団に組み込めばいいのだ。
「お前の領地で我が臣民を、それも三等級の者を受け入れるというのか!!?」
「ただの三等級民ならお断りするわ。野心を持った三等級の人間だけを送りだしてくれればいい」
そう、ただの三等級民に用はない。
私が欲しいのはネブラスカ一等執政官と張り合えるようなじゃじゃ馬だ。
適正の有無を努力で覆すほどの我の強い奴がいい。
私は肩書が人を成長させるという言葉を信じている。
野心があり、努力の先に成功があるなら、どんな苦労だって引き受けてみせる。
私が欲しいのはそんな人材だ。
「その上で、私の政策がうまくいったならプレスビテリアン帝国でも取り入れればいい」
我孫子は顎に手を置き、考える。
皇帝としても一考する価値があると思えたのだろう。
なにより、我孫子にはデメリットがない。
この侵攻を諦め、同盟関係を結ぶだけでいいのだから。
「だが、隔離策なら、我が国でも可能だ。わざわざお前の領地を使う意味はない」
真面目な顔で長考した後、とぼけたような声音で、我孫子は告げる。
「いいえ、私の支配する私の領地でやることに絶大な意味があるわ。それはあなたが一番よく分かっているはず」
そうノータイムで返すと我孫子は破顔する。
今のは最後のテストだ。
彼の中で答えは既に出ていたのだろう。
「この土壇場でよくもまあ、我にそのような大口を叩けたものよ。そのようなことができるのは世界広しといえど、お前ぐらいのものであろう、春日井よ。その胆力、機知、器量、それを以って都洲河だけでなく、プレイヤーキルマイスターをも魅了したか…なるほど、合点がいったわ…」
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