第880話 阿来津&雨佐美VS都洲河&春日井㊱
互いに言葉での殴り合いは済んだ。
後は実力行使のみ。
残った【白気】も【一切の不純物のないの世界】で殆どもっていかれた。
身体能力向上に使う僅かな【白気】が残っているぐらいだ。
それも、間もなく消える。
【一切の不純物のないの世界】の燃費は最悪だな。
その上、術者にまで回復不能のダメージを与える。
他人の人生を追体験できるという破格の性能を持つが、使用後術者がほぼ丸裸になるのは【スキル】としてどうなんだろう。
それに追体験した他人人生の重みに耐えることができるかも疑問だ。
もっと辛くて重い人生を盗み見た時、私の精神が破綻するかもしれない。
蓋を開けてみないとどうなるか分からないギャンブル性の高い【スキル】だ。
だが、それでも不思議と後悔はない。
なぜだが、あれほど憎らしいと思った雨佐美の存在を今では愛らしいとまで思っている。
いや、愛らしいは言い過ぎか。憎からずといったところか。
あの優柔不断男の評価はそれぐらいで十分だ。
熱線が来る。
これまでの技工を凝らした一撃ではなく、心臓を狙った真っ正直な一撃。
その分、早さが桁違いだ。
残った【白気】を右足だけに振り分け回避。
どうせ、大した量は残っていない。
防御に振り分ける分など不要だ。
だが、雨佐美の熱線は消えることなく、放出を維持している。
レーザーソードの形状を長丈のまま維持し、そのまま私の胴を薙ぐつもりだ。
即座に【白気】を左足に集中させ、雨佐美の胸元へ飛び込む。
このまま回避し続けてもジリ貧だ。
しかし、雨佐美なら、もう一工夫仕込んでくるはず。
自分の直感を信じ、接近。
雨佐美の腕の可動域の範囲内にまで侵入し、残った全【白気】を叩き込む。
「【発勁】!!!」
【黄金烈眞掌】の応用で初めて使ったが成功した。
雨佐美の肉体を砕く確かな手応えを感じた。
「俺が搦み手を用意しているとは思わなかったのか?」
自分が死ぬ直前だというのにトンチンカンな台詞を言ってくる。
「だとしても、発動前に叩けばいいだけでしょう。迷ってる暇があったら行動するが私の信条なのよ」
「なるほど、それが俺とお前の強さの質の差か…」
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