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第877話 阿来津&雨佐美VS都洲河&春日井㉝

 うげえ…

 吐きそう。

 気持ち悪い。

 初めて【一切の不純物のない(しろ)の世界】を使ったが、気分は最悪だ。

 相手のトラウマを刺激し、メンタルダメージを与える。

 そこまではいいが、よもや、相手のトラウマを自分までもが追体験してしまうとは…欠陥もいいところだ。

 直接ダメージ系以外の搦み手が欲しいとは思っていたが。

 ここまでの規模のができるとは…

 私としては、変幻自在でかつ、殺傷性の高い、中距離攻撃を希望してたのだが。

 燃費、代償、ユーザビリティ、など考えても、使い勝手が悪すぎる。

 自分にまでダメージを与える【スキル】は果たして【スキル】として完成してるといえるのか…

 けれど、命名は完了しているし、破格の性能は確認できた。

 後はフィードバックをどう抑えるかだ。

 立て、私!

 今の雨佐美は隙きだらけだ。

 千載一遇の好機なのは間違いない。


 「ずいぶんと舐めた真似をしてくれたな、春日井…」


 怨嗟の声を上げながら、雨佐美が立ち上がる。

 声に力はあるが、顔色は悪い。

 【一切の不純物のない(しろ)の世界】が効いている証拠だ。

 雨佐美の過去を追体験した訳だが、当然、トラウマを抉られた本人の方がダメージは大きいはず。

 正直、私としてはなぜ雨佐美があそこまで苦しむのか理解できない。

 理解できない以上、私のダメージはあくまで表層をなぞったもの。

 雨佐美本人は私の倍以上のダメージを受けていると考えて間違いないだろう。

 よって、あの姿は虚勢。

 中身は私以上にボロボロのはず。

 なにより魔法使いとしての奴は死んだはず。

 なぜなら、高位の魔法発動には、深い精神集中が欠かせないからだ。

 それでも、警戒を解くわけにはいかない。

 雨佐美の過去を覗いて分かったが、奴もまた、容易に諦めるということをしないからだ。

 故に私は雨佐美の心を折る。

 さあ、雨佐美よ、ここからが本番だ。

 私の口撃に耐えることができるかな。


 


 読んで頂きありがとうございました。次回の投稿もなんとか頑張ります。

 ブックマーク、感想、評価、メッセージなどありましたら、何でもお待ちしております。

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