第82話 私を助けてくれる人の最高到達点
生仁目さんからエクストラクエストを受けた私達はすぐさま祥君のカードで第5階層エクシード王国に下りた。途中、障壁があるとのことだったがなんなく進入できた。
「なんか軽々、障壁を突破できたけどコレってどういうことだと思う、渚?」
「RDHはシステムに乗っ取ってクエストの初期化を発動しようとし、システムはその間、邪魔が入らないように障壁を生み出した。けれど、私達もシステムに乗っ取ってエキストラクエストを受諾し、システムが正常に働いて障壁を突破できた。エキストラクエストはエミリーの奪還を指示しているからシステム的には問題がないってことだろう。要はクエストの初期化が早いかエキストラクエストの達成が早いかだろう」
「しかも、今回は依頼者不明でエミリーを情報管理局に連れていけばそれでエキストラクエスト完了だもんね。なんか、出来過ぎてない? それと神も一枚岩じゃないってどういう意味だと思う」
「文字通りだろう、グランドクエストを進めると分るがセカンドワールドオンライン上には様々な神がいるとが分る。実は私も合ったことがなくてテキストフレーバーだけの存在だと思ってたのだがNPCとして実在したんだな。セカンドワールドオンライン上には様々な神がいて様々思惑を持っているということなんだろう。RDHと思想的には逆の神が私達に力を貸してくれたってところだろう」
「いや、思想的に逆の神がいるってのは分るんだけど、私達にとって最高のタイミングで力を貸してくれるっていうのがひっかかって…」
「RDHは独立強硬派なんだ。たぶん、エキストラクエストを作ってくれたのは穏健融和派だと思う」
祥君が私達の会話に割って入ってきた。
「あまり語ると禁則に抵触するぞ、清水谷。彼女達が知るにはこの【禁忌の知識の一部】を理解するか第6階層に到達しないと!」
報音寺君もなにか心配したような様子で祥君に制止をかける。
「大丈夫【オートマズリング】をかけてるから。神の正体は禁則なんだ。でっ、その禁則し、禁則した神の反応は主に二つに分かれたんだ。禁則派と禁則派。って会話のほとんどが抵触して【オートマズリング】が発動するからやっぱだめか…」
祥君はうなだれたようにこちらを見た。
「オレと報音寺は諸事情があって第8階層まで行ってるんだ。第6階層が下級神の世界。第7階層が上級神の世界。第8階層が最上神の世界。第6階層に到達するといきなり禁則が出てきて、禁則の呪いを受けたんだ。第6階層以下の情報を上階の者に一定以上もらすと蛙化する呪いだ。だから、第6階層以下の情報ってほとんど表に出てきてないだろう。こうやって普通のプレイヤーは自分に口止めの呪いとか、かけて蛙化の呪いを阻止してるんだ。オレらがRDHの情報を詳細に語れないののはこのせい、ごめんね」
「要するに第6階層に到達した時、蛙化の呪いをかけられて、条件を満たさない相手に必要以上の情報をしゃべると蛙化してしまうから自分に口封じの呪いをかけてるってわけか、めんどうだね…」
「おしゃべりはそこまでだ。どうやら我々はあまり歓迎されてないようだぞ」
渚が私達に警告を発する。
目の前にエクシード王国の鎧を着込んだ兵士がうじゃうじゃ現れた。
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