第818話 阿来津&雨佐美VS都洲河&春日井㉘
身体が燃えていく。
全身隈なく焼かれているせいで息苦しい。
呼吸を封じられれば当然か。
炎のせいで周辺酸素がなくなってきているのだろう。
流石にここまでかな…
連戦に次ぐ連戦。
都洲河と戦い、鬼怒川と戦い、アウラングゼーブ、阿来津、最後に雨佐美だ。
消耗しすぎた…
この上、まだ我孫子との決戦が残っている…
万策尽きた…
土台、たった独りで帝国と戦うという発想が無茶だったのだ…
…………
………
……
…
いや、独りではないか…
皆が皆、こんな私に力を貸してくれた。
こんな私の想いに応えてくれた。
リヒャルトシュトラウスは身体を張って私を生徒会執行部の幕間に連れて行ってくれた。
ヨウメイは命を賭けて私を逃してくれた。
クーリッジは怖ろしいスピードで成長し、私を助けてくれる。
フェビアンはこんな私を主と慕い叱咤激励してくれる。
ディズレーリ、グラッドストン、パフレヴィーは負ける戦争だと分かっているのに参加してくれた。
ドレフュス、ティルジット、サンケイは不利な状況にも関わらず私に力を貸してくれた。
エミリーはどんな窮地に陥っても必ず駆けつけくれる。
そして、祥君は…
馬鹿か、私は。
私の戦いはもう私独りのものじゃない。
総大将の私が勝手に諦めて、それで終わりってわけにはいかないんだ!!!
そう思った瞬間、身体が軽くなった。
頭の中にあった靄がキレイに晴れた。
不思議なもので、活力まで戻ってきた。
想いが通れば、閃きも生まれる。
そもそもこの身は情報分身体。
情報分身体は確かに呼吸動作も再現しているが、それで現実世界の私が呼吸困難になるのはおかしい。
要は私が入り込み過ぎてるだけなのだ。
まずは現実の私を助けるために大きく息を吸い、吐く。
情報分身体の私に変化はないが、思考がより明瞭になった気がする。
どうせ雨佐美は襲ってこない。
念のため、数度繰り返す。
よし、息苦しさは解消された。
全くなんで、こんな単純なことに気付かなかったのやら。
この【石化】による拘束だってそうだ。
自分に火を点けるっていう荒業にやり込められてしまったが、攻略は容易い。
まずは雨佐美を引き剥がす。
「【白澄】」
私の【白澄】には状態異常の回復効果もある。
【石化】のバッドステータスなど、当然回復させる。
案の定、雨佐美の【石化】はすぐに解けた。
「いつまでも女の身体にまとわりついてんじゃねー」
渾身の力で顔面パンチ。
【黄金気】も【聖皇理力】も纏っていなかったが雨佐美は派手に吹き飛んだ。
同時に、私にまとわりついていた炎も雨佐美にまとわりついていた炎も消失した。
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