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第817話 阿来津&雨佐美VS都洲河&春日井㉗

 痛い。

 痛みは感じない情報体アバターの身体なのに痛い。

 羅喜やディオと深くシンクロしすぎているせいか、確かに痛みを感じた。 

 それもそのはず身体に数ヵ所、穴が空いていた。

 穴の先が見えるほど、パックリ貫通している。

 だが、生きてる。

 HPは嘗てないほど減ったが、なんとか生き残った。

 あの瞬間、回避は不可能と判断した私は、咄嗟にダメージの最小化のために動いた。

 着弾位置を調整することで、急所を外し即死を免れたのだ。

 とはいえ、ダメージは甚大。

 もう数発同じのを喰らえば、終わる。

 まずは雨佐美を引き剥がさねば。

 だが、次の瞬間、身体に別種の痛みを感じた。

 熱風!?

 いや、これは熱さだ。

 私の身体が燃えていた。

 雨佐美の野郎、自分自身に火をつけ引火させやがったのだ。

 普通に放てば避けられるからって、ここまでやるか普通!

 【黄金気】、【聖皇理力】で防御しているからダメージはないが、身体が燃えている感覚が怖ろしい。

 こんなの正気ではない。


 (落ち着け! 熱線ではなく、炎を放ってきたってことは【連続詠唱】にも限界があるってことだ。目くらましにやられて、奴に時間を与えるな)


 羅喜からの叱責が飛ぶ。

 頭では分かっているが身体が言うことを聞いてくれない。

 どうしてここまでやる?

 何が雨佐美をこうまでさせるのか。

 そう思い、ふと、雨佐美の顔を見れば、奴は笑っていた。

 【石化】のせいで彫像のように表情が固定されていた。

 自分を撃ち、自分に火を放つ。その状況を作って笑っていたのだ。

 私には雨佐美の執念がまるで理解できない。

 こんなもの自己犠牲の精神を通り過ぎている。

 自分の身体を焼いてまで、勝利を求める人間などいていいはずがない。

 気持ち悪い。

 得体の知れない感情に、全身を舐め回されたような気分だ。

 完全に当てられてしまった。

 その間も炎は全身を隈なく焼いていく。

 服の焦げた臭いまでしてきた。

 精神に支障をきたしたせいで【黄金気】と【聖皇理力】の防御に綻びが出たのだろう。

 なんとか脱出しようとするが石の塊となった雨佐美はびくともしない。

 おそらく魔法由来の【石化】のせいで硬度がとんでもないことになっているのだ。

 半ば恐慌状態になりながら、脱出を図ろうとするが全く効果がない。

 焦りと絶望感ばかりが広がっていく。


 読んで頂きありがとうございました。次回の投稿もなんとか頑張ります。

 ブックマーク、感想、評価、メッセージなどあれば、何でもお待ちしております。

 皆様のポチっとが私の創作の『思った通りに事が進まない。一回長考すべきか…』(意味不明

)ですので何卒よろしくお願いします。


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