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第816話 阿来津&雨佐美VS都洲河&春日井㉖

 羅喜のおかげで至近の距離までノーダメージで近づけた。

 ここから先は私の距離。

 念には念を入れ、【蜉蝣の足捌き】を使い牽制。

 幻体が先行して、雨佐美に迫る。

 最強クラスの前衛である阿来津の目は騙せなかったが、後衛の魔法使い相手なら見切ることは不可能。

 迎撃して、無防備なところをワンパンで決める。

 だが、先行した幻体は雨佐美の前で千切りにされた。

 熱線の【不可視化】も可能なのか!!?

 頭上に2個、地中に2個。

 弾道から総数が読めた。

 羅喜の目さえ、誤魔化しうる切り札を今の今まで温存していたとは畏れ入る。

 それでも、種が割れてしまえば対処は容易い。

 軌道は読めた。この距離での小細工は不要。

 熱線が照射されるより早く、【黄金気】と【聖皇理力】でコーティングした渾身の一撃を叩きこむ。

 幻体の倍速の速さで接近し、拳を振り抜く。

 完全に捉えた。

 だが、ダメージを与えた感触がまるでない。

 有機物でも無機物でもない、空間を殴ったような感触。

 衝撃力を転移させられたような不可思議な感覚。

 ふと、雨佐美の手を見れば、なにか【カード】を持っている。

 身代わり系の【カード】を使ったのか。

 だが、それほど便利な【カード】であれば、レアリティは計り知れない。

 何枚も持つのは不可能なはずだ。

 それなら、有効なのは連続攻撃。

 ゼロ距離から【黄金烈眞槍掌】を放つ。

 だが、確かに雨佐美の身体に触れているのにダメージ感触がない。


 (威力の大小は関係ないパターンの【カード】だ。なら、時間か回数に制限があるはず。連続攻撃で検証してみろ)


 羅喜からありがたいアドバイスが飛ぶ。

 だから、私にはあんたの要望に応えられるほど、技のレパートリーが無いんだって。

 やむえず、いつもの小石の散弾投げを試そうとすると、雨佐美が殴りかかってきた。

 後衛の貧弱な腕力では【黄金気】すら抜けない。

 故に防御は不要。

 やぶれかぶれで殴りに来たのか。

 そう判断したのがまずかった。

 いや、過小評価を下した己の傲慢さに問題があった。

 なんと雨佐美は私に絡みつき、自分に【石化魔法】をかけやがった。

 まだ、【カード】の効果は持続している。

 攻撃してもダメージは通らないし、【石化】した身体で絡みつかれたせいで振り解けない。

 そうして、全ての熱線の照準を私に向けた。

 野郎、私ごと道連れに撃つ気か。

 そう思った瞬間にはもう、致死の熱線が放たれていた。 

 


 読んで頂き、ありがとうございます。次回の投稿もなんとか頑張ります。

 ブックマーク、感想、評価、メッセージなどあれば何でもお待ちしております。

 皆様のポチっとが私の創作の『暑い。これが暑さというものか。一体、梅雨はどこへいったんだ…』(意味不明)ですので何卒よろしくお願いします。


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