第814話 阿来津&雨佐美VS都洲河&春日井㉔
闇が光を食い尽くし、光の牢獄が消失すると都洲河は声もなく、仰向けになって倒れた。
息はある。
だが、全身に自身が放った闇魔法のフィードバックを受け、動くこともままならない。
【高速修復】も作動していない。
私が回復してやりたいが、こんな状態の都洲河に光属性の回復を使って大丈夫なものなのか。
判断がつかない。
いや、それよりも、まだ戦闘中だ。
まずは雨佐美の生死の確認をせねば。
都洲河がココまでのことをやったのだ。
このまま死んでいてくれれば、ありがたいが。
確認のために爆心地に赴けば、無傷の雨佐美がそこにいた。
回復をするでもなく、ただ服をブラッシングしながら埃を取っている。
流石に死んだとまでは思っていなかったが、ノーダメージとも思っていなかった。
生半可な魔法障壁であれは防げない。
あれだけの威力の闇魔法を食らって、無事とは一体どういうカラクリなのか…
「あの極大魔法…威力は凄まじいが、どう見ても未完成品だった。ただ、真っ直ぐ飛んでくるだけの魔法に当たる馬鹿なんているわけないだろう」
勝ち誇ったような表情で告げてくる。
都洲河の執念を馬鹿にされたようで、一瞬、心が揺らぐ。
なるほど、防御ではなく回避をしたというわけか。
後衛の魔法使いではあるが、身体能力がゼロというわけでもない。
むしろ、自分の高威力魔法を最大限発揮するために、ある程度の身体能力は持っているというわけだ。
雨佐美もハイランカーの1人なのだ。
「都洲河が放った一撃があまりに凄くて、泥まみれになって避けるしかなかったってわけね。執事さんも大変ね。待っててあげるから洗濯してきたら? 給仕に差し障りが出るでしょう」
挑発には挑発を。
口喧嘩で私が負けるわけがない。
こんな挑発で都洲河の無念が晴れるわけはないが、言わずにはいられない。
「御自慢の切り札もあっさり無効化されて、頼みの前衛も自分が殺してしまう始末。そんな無能でも【皇帝】の執事が務まるもんなんですね~いや、【執事】でもない、ただの【召使】でしたか。それなら合点がいくというもの。こんなところにいないで、泥にまみれて、畑に野菜でも取りに行けばどうですか~」
「豚が…五体満足に死ねると思うなよ。目は潰し、鼻は削いで、口は焼いてその首、飾ってやるよ。もちろん、首から下は家畜の餌だ。私を愚弄したこと、存分に後悔しろ…」
軽く煽ってやっただけで釣れた。
戦闘前に心を乱して、どうするんだ。
私のほうこそ、都洲河を侮辱した件、きっちり精算させてやる。
読んで頂きありがとうございました。次回の投稿もなんとか頑張ります。
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