第812話 阿来津&雨佐美VS都洲河&春日井㉒
【極光零域放射驟雨】
聞くからに光魔法だ。それも特上の。
回避不能の範囲攻撃。ダメージは特大。おまけに脱出不能。
厄介な術式だ。
殲滅術式と名付けるだけのことはある。
考えている間にも光の矢が次々と私に刺さっていく。
術者を攻撃しようにも、姿すら見えない。
HPがどんどん減っていく。
まだ、あまり研究を進めていないが光魔法は魔や闇など特定の属性を持つ者に対して、特に高い効果を発揮するという。
ゾンビやスカル系のアンデッド、魔族など光魔法を弱点としている種族もいると聞く。
聖竜皇と契約している私はともかく、【魔王】である都洲河はもっとヤバイだろう。
私が前に出るしかない。
「無駄だ。あれはただの光魔法なんかじゃねえ。属性なんぞ、ガン無視してダメージを入れてくる光の檻。魔力そのものを攻撃ダメージに転化しているようなチート術式だ。【聖属性】の素養が少々あったところで、耐えきれるもんじゃねえ」
つまらないものを見るような目で阿来津が告げてくる。
奴の身体にも光の矢が無数に刺さっていた。
避けるつもりもないらしい。さっきまでとはまるで別人だ。
そもそも奴の瞳に達成感というものがまるでなかった。
自分でこの状況を作りあげたというのに。
きっと阿来津にしてみれば、時間切れの感が大きいのだろう。
時間内に任務達成ができなかったからしょうがない。
雨佐美との契約だからしょうがない。
その諦めが捨て鉢的な行動を生んでいるのだ。
それでも、私は諦めるわけにはいかない。
なにより【消滅系】の魔法ではないのだ。
喰らえば終わりというわけではない。
光魔法であるということは無機物のロボットには効果がなく、有機物の植物系にだって効果が薄いはずだ。
完全無欠という概念はこのゲームには存在しない。
何か方法があるはず。
あがいて、あがいて、あがき続け、見つけるしかない。
目の前の男のように中途半端に勝負を投げる訳にはいかないのだ。
そう考えていたのは私だけではなかった。
「春日井、提案があるのだが…お前の命を俺に預けられるか?」
都洲河も諦めていなかった。全身ハリネズミのようになりながらも勝機を練っていた。
【魔王】の方が辛いはずなのに、不敵な笑みを浮かべ私に問うてくる。
いつかの問いと全く立場が逆転した。
あの時、都洲河はノータイムで答えてくれた。
だったら、私の答えは決まっている。
「もちろんよ。同意なんかいらないわ。私達はもはや一蓮托生、あなたの決断が私の選択よ。遠慮なんかいらないわ。ぶちかましてやんなさい!」
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