第781話 我孫子陣営の守りを突破せよ③
「【陣形術】って言うのはね、5人以上で戦う。その5人の中に特定の職業についているものがいる。さらにその特定の職業についた者が2つ以上の【陣形】を修得しているなんていう厄介極まりない条件でのみ発動させることのできる第3系統外のことだね。人数がいるからハイランカーに取ってはあんまりメジャーな術式じゃないんだけど、今みたいに嵌まると怖い術式だね」
いつの間にやってきたのか、飾磨巧が側に寄ってきて解説を始める。
まるで今までずっと一緒に戦っていたような雰囲気だ。
だが、アウラングゼーブの敵意は突如現れた飾磨巧にも向いている。
どうやらラインが違うというのは本当のことのようだ。
「しかもあの将軍様が使っているのは【大軍陣形術】。君主に対するよほどの忠誠心と部下からの絶大な忠誠心がなければ成功しない高難度陣形術だ。こんな特殊な術式を使ってくるなんて、あのNPCは相当に強いね。やはり、歴史を積み上げてきた帝国は強さの厚みも一味も違うね」
戦場のど真ん中にいながら、どこからかお菓子を取り出し食べている。
万人の目にさらされているがお構いなしだ。
まるでテレビ観戦でもしているように解説を続ける。
「そういう蓋然的な説明は要らないから! 私の【黄金烈眞槍掌】が効かなかった理由を知りたいんですけど!! あるいはあなたが直接、力を貸してくれるっていうのでもいいんだけど!!!」
無駄だと分かりながらも協力を要請してみる。
おそらく手持ち無沙汰を解消するためにここまで来たのだろう。
都洲河は好機を図るために飾磨巧をガン無視したに違いない。
「私が君らに力を貸すわけないでしょう。私はあくまで【生徒会長】の意向で動いてんだから。けどまあ、元クラスメイトのよしみで攻略法ぐらいは教えてあげるよ。今のは単純に春日井さんの必殺技のダメージ総力が足りなかっただけ。必殺技がしょぼすぎたって言ってもいい。おそらく、あれは味方から微量なHPを分けてもらう陣形術だ。10万の大軍からHPを1だけ分けてもらっても単純にHP10万だ。春日井さんの【黄金烈眞槍掌】は見た目は派手だけど平均ダメージ5000ぐらいじゃないかな。最低でも今のを20回は通さないとアウラングゼーブは倒せないよ」
さらりと不可能要求を突きつけてくる。
今の私なら20回の【黄金烈眞槍掌】は不可能ではないが楽勝とも言い難い。
おそらく、アウラングゼーブを倒した後に行動不能に陥ってしまう。
ここでそこまでの体力を使うわけにはいかない。
「まあ、私なら【術式の無効化】を狙うけどね。ある程度、戦いのレベルが進めばこういった【無効化系のスキル】は必須だよ。じゃないとスペックでは圧倒してるのに、こういう風に特殊効果を多様してくる敵に勝てないからね。いい線まで来たのに経験値不足が仇になったね、春日井さん。けど、いい勉強になったんじゃない」
読んで頂きありがとうございました。次回の投稿もなんとか頑張ります。
ブックマーク、感想、評価、メッセージ等あれば何でもお待ちしております。
皆様のポチっとが私の創作の『足に水疱ができた。気持ち悪い。治ったと思ったら今度は変色した。気持ち悪い』(意味不明)ですので何卒よろしくお願いします。




