第77話 私の彼氏が動いてくれた訳
「けど、どうしてエミリーが攫われたって知ったの? 渚から聞いたの?」
私は祥君に手を引かれながら思っていた疑問を口にした。
「昨日から真澄さんの様子は変だっただろう。それが今日になって輪をかけておかしくなれば心配もするよ」
「昨日はともかく、今日は普通だったでしょう。」
「いや、今日がとびきり変だったよ。普段はあんな風に能面みたいな気持ち悪い笑い方しないよ。クラスの連中、全員変だと思ってたよ。オレに探りを入れろって圧力までかかったもん」
ううっ、そこまでだったのか。自分は努めて平静であったつもりだが。あとでクラスの連中には埋め合わせをしないと。
「んで、エミリーに状況を確認しようとしたら行方不明だし、情報屋を使って状況を聞いたわけ。まさか報音寺や天都笠とエキストラクエストまで受けたり、RDHと交戦してるなんてなんて思いもしなかったよ。天都笠も天都笠で頑として口を割らないし、真澄さんの症状を説明してようやく昨日の状況を説明してくれたんだ。明らかにログイン恐怖症にかかってたもん」
「ログイン恐怖症?」
「そっ。フルダイブ中毒の一種。フルダイブ中になにか大きなショックなことがあって再ログインができなくなくなる病気。仮想現実の話題を避け、現実世界で明らかに無理してるのが分るのが特徴かな。フルダイブ中毒の真反対の症状だね。どっちも脅迫観念大きく関係してるのかな。まあ、そんな精神病の分析はどうでもいいんだ。オレ達にとって、あの世界はもう一つの現実なんだからうまくいかないことがあったってそこまで責任を感じることはないよ。エミリーの覚醒は必然だったし、第6階層の敵はいくら【白気】を覚えたからってレベル一桁で勝てる相手じゃないよ」
「エミリーがああなることを知ってたの?」
「ひどく頭のいい子だったからね。けど、彼女ならアレを克服し一段上のステージに上がるじゃないかと期待もしてた。システムの奴隷であることから解放され明確な自己をもったNPCは本当の意味で人間になるんだ。ただ、今回はあまりに展開が早すぎたんだ。だからオレらが今からエミリーの元へ行ってもう一度正しく覚醒できるように手助けしようと思ってるんだ」
「けど、具体的にはどうするの? RDHがエミリーを連れてどこへ行ったか分るの? エミリーを元に戻す方法はあるの?」
「実は正直分らない、ごめん。NPCの覚醒については情報としては知ってはいるけど体験するのは今回が初めてなんだ。けど、知ってそうなやつなら心当たりがある」
祥君はバツの悪そうな顔をして答えた。彼だってなんでも知ってるわけでもなく、なんでもできるわけでもなかったのだ。けど、自分のできないことを理解しながら私のために力を貸してくれようとしてたのだ。
「困難は分割せよさ。何でもかんでも一人で背負わず、できないことはできる奴らにまかせるのが一番いいのさ!」
読んで頂きありがとうございました。やはり、休日は魔物ですね。昨日は今日の分を書いてから寝ようとしたら夕飯を満腹くったショックで寝てしまい。今日、起きたらなんか書く気がおきず、ダラダラ夕方を迎えてしまい。気づいたら20時になってて慌てて書きました。ヤバイヤバイ、もう少しで連続投稿の記録を落とすところだった。明日の投稿も14時から23時ぐらいの間で行きます。ブックマーク、感想、評価、メッセージなどあればお待ちしております。お気軽にどうぞ!




