第749話 鬼怒川は春日井真澄を前にして、ふと物思いに耽る③
そんなわけで都洲河はせっかく与えられた僕らという戦力を利用せず単騎で大要塞マムルークに乗り込んでいった。
まあ、あいつの戦力なら一騎駆けも確かに不可能ではない。
だが、僕らという戦力もいるのだ。都洲河がどれほど強かろうが僕らという戦力を利用したほうが確実性は上がる。
むしろ、利用しないことのメリットが分からない。
腹が立って【過去視の魔眼】で確認してみれば、春日井のためだという。
単騎でのマムルーク制圧に成功すれば、この戦争を終えるという約束を我孫子書記長としていた。
要するに私情だ。
あいつはどうやっても春日井に帰ってきてほしいようだ。
そんなことをして、たとえ成功しても春日井は帰ってはこないだろうに。
やはり、都洲河はやることなすこと全てのピントがズレてる。
あいつは人の気持ちが分からない。分かろうともしない。
あいつに対して決定的な隔意を抱いたのはこの時だ。
腹さえ決まってしまえば、後は行動するだけだ。
幸いにもパーティーの意思決定は容易かった。
全員が僕に協力してくれた。
普段から、地道に貸しを作っておいた結果だ。
いや、皆の下心を上手く刺激したおかげか。
皆、現状のA組の在り方に不満を持っていた。
作戦の決行は僕に一任された。
保険として都洲河が春日井に圧勝し、マムルークを落とせば決行は無しということにした。
マムルークを落としても都洲河が無傷で立っている姿が容易に想像できたからだ。
あいつの実力は正直、底がしれない。
まだ、切り札の一つや二つ隠し持っているだろう。
同時に春日井が都洲河に大ダメージを与えることも予想できた。
勝てはしないだろうが春日井の実力も得体が知れない。
あのA組での組手はまあまあ本気で勝負をしたのに勝てなかったからだ。
一番最悪なのは【プレイヤーキルマイスター】を呼んでいる場合だ。
その場合も難しい判断になるが決行だ。
もっとも【プレイヤーキルマイスター】が出てきたなら作戦に大きな修正が必要になってくる。
あんな厄災の象徴とまともに戦えるわけがない。
回復薬の無駄だ。
こんなちんけなクエストになど、出てくるとは思わないが春日井との関係が謎だ。
一応、やってきた時のことも考慮に入れておかねばならない。
いざ、来た時に考えても決定的に遅いのだ。
考えている間に殺さねかねない。
有事が起きてから、有事について考えても手遅れだ。
そんなものは2流の人間がすることだ。
平時に有事についての想定をしておき、事が起きたらマニュアル通り対応する。
どうせ、有事の際はイレギュラーが山積する。
それへの対処だけで忙殺されるのだから。
思考に余裕のある時の方が視野を広く持てる。
深く持てないのが弱点だが。
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