第732話 春日井真澄は孤軍奮闘して頑張る③
「【白泰山眞剣】」
凝縮された【白気】で作った剣が質々浜を襲う。
しかし、直撃したが無傷。
かなり威力を上げて射出したが、この程度では避けるにも値しないのだろう。
ならば、用意していた第2、第3、第4の構成剣にも意味は無い。
それに今のはどちらかといえば、防いだというより吸収されたような感じだった。
わずかに質々浜の【気】の量が増えた気がする。
【十二冠位の気】とは【気】そのものより、【気】を扱うための独立した技術のように思える。
【黄金烈眞槍掌】は質々浜の体内に潜り込んだが侵食されて無効化されてしまった。
【白泰山眞剣】は吸収された。
【吸収】、【侵食】とくれば残りはなんだろうか。
【増幅】、【反射】ぐらいだろうか。
とにかくこれ以上の【気】での攻撃は危険だ。
無限収納から【NS110鋼の剣】を取り出し攻撃。
「二段斬り」
そう叫んでみたが剣技をまるで修得していない私ではこんな基礎的な剣技すら発動できない。
一応、【黄金気】で身体強化された一撃ではあるのだが質々浜にはまるで効果がない。
【気】を使えない私はまるで無力だ。
「剣技はまるで素人ですのね…素材だけは上等な業物を使ってくるから、警戒して【大仁の気】を使って圧縮率を上げたのに…」
肩透かしでも受けたような表情で質々浜はつぶやく。
私がそんな万能超人であるものか。
「そろそろ、私の攻撃を見せましょうか」
そう述べると質々浜は【気】の出力を大幅に上げた。
纏っている【気】の色も変わった。
あれは【青気】だ。
まずい。
気付いた時には既に懐に潜り込まれていた。
質々浜の拳が私の腹部に深々と刺さる。
ご丁寧に【侵食の気】を送り込まれ、体内に不快なダメージを感じる。
体内にダメージを与える技が浸透頸以外にもあったなんて驚きだ。
自分の身体で試していなければ、もっと感動できただろうに。
懐にいるなら私の距離でもある。
【黄金気】を【NS110鋼の剣】にも込め、渾身の力で斬りかかる。
しかし、今までと同じでダメージが一切通らない。
だが、ほんの一瞬、緑の光が瞬いたのが見えた。
防御力アップの【緑気】というやつか。
また、マイナーな。
接敵に【青気】を使い、防御に【緑気】、さっきの拳には【黒気】が乗っていたようにも思える。
状況によって【カラーオーラ】を変更しているのか!?
複数【気】の同時使用ではなく、次々にスイッチしているのか。
無駄の少ない良い戦術だ。
【気】の運用だけで考えれば、私よりはるか格上というわけか。
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