第731話 春日井真澄は孤軍奮闘して頑張る②
「私、先日、とうとう【十二冠位の気】の最後の一つ、智の冠位を修得しましたの。これで【十二冠位の気】は完全にマスターしたことになります。これで互角ですわね。真の気使いの実力を見せてあげますわ」
そう言うと質々浜はドスドスと体重を感じさせるような音を立てながら近づいてくる。
【気】による身体強化は行なってないのだろうか?
決定的に遅すぎる。
質々浜は武器を使わず、無手で攻撃を仕掛けくるが全ての動作が遅い。
【黄金気】による身体強化を使わなくとも、余裕を持って避けられる。
接近の瞬間、観察してみると【威力強化】は行われているようで、喰らえば大ダメージを追うほどの【気】が練りこまれているのが分かる。
だが蚊が止まるほどの速さでは目をつぶってでも避けられる。
やはり、質々浜は集団戦闘、パーティー戦闘が得意分野で一騎打ちのような真似はほとんどしないのだろう。
膨大なHPと堅牢無比な防御力を活かし、盾役、壁役としては優秀だが自分から攻めることは下手くそだ。
どうして、単騎で突出して出てきたのか。
素直に鬼怒川の守護に徹していれば、これほど攻略の難しい相手はいないというのに。
だが、先にも考察したようにHPと防御力は本物だ。
生半可な攻撃では質々浜にダメージは与えられない。
与えたとしても、質々浜をひやりとさせるほどの深刻なダメージを与えられない。
このままでは埒があかない。
まだ、鬼怒川、それにマムルーク内部に侵入した敵の掃討もあるので温存しておきたかったが…
使うか、私の最強の必殺技【【聖皇式魔王堕とし】を。
先程、【黄金烈眞槍掌】が効かなかったのは多分【気】ベースの技だったからだ。
【12冠位の気】が【気】の取り扱いと深く関わっていることは間違いない。
ならば、全く別系統の第3系統外【聖皇理力】であればダメージは通るはず。
しかし、まだたった1回しか使ったことのない大技だ。
威力調節ができるかどうか。
エネルギー配分を間違えてぶっ倒れるのだけは避けたい。
それに質々浜はそれほど強くない。
攻撃力はよく分からないが、速さはなく、防御力が高いだけで攻撃は当て放題だ。
これまで人間と戦う時はほとんどが高機動型だったので非常にやりやすい。
私が戦ってきた中では比較的弱い部類に入る敵だ。
できれば、切り札を投入することなく勝ちたい。
普通の身体強化と『NS110鋼の剣』だけで勝てないものか。
最近は【黄金気】や【白気】一辺倒だった弊害がここにも出ている。
【気】を封じられると手も足も出ない。
こんなとき、祥君なみの剣技があれば質々浜を早々に無力化できたのに。
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