第724話 ティルジットは摩訶不思議な敵と遭遇する④
「NPC風情が知った風な口をききやがって。さっきからチョロチョロ逃げ回ってるだけじゃねえか。これならさっきのNPCの方がまだ手強かったぜ」
俺に挑発された意趣返しだろうか。
各務原は急に多くをしゃべりだしてきた。
「他人の能力で戦うような盗人に言われたくもない」
こちらの覚悟はもう決まっている。
これ以上の舌戦は必要ない。
バッサリと会話を断ち切る。
「これも俺の力だぜ。習うの究極系、奪うだ。戦闘に卑怯も汚いもない。使った時間も、かけた想いも関係ない。結果が全てだ。さっきのNPCもそうだが奪われるやつがマヌケなだけだ」
そう言われると言い返せない。
一面においては極めて正しい。
だが…
これ以上の言葉は必要ないと判断しながら、思わず声に出ていた。
「お前の言うことは間違いではない。だが、それが全てというわけでもない。かけた時間と想いの熱量がもたらす成果というものは確かにある。今からお前にそれを見せてやろう」
そう言うと俺は脚に【青気】を集中させて、準備を整える。
打倒フェビアンのために俺が開発した戦術は大きく分けて3つ。
その一つが高威力カウンターだ。
あらゆる技の短所を瞬時に見切り、すぐさま強烈な返しを放ってくるフェビアンに対してこちらからダメージを入れるのは至難の業だ。
ならば、どのタイミングでフェビアンに攻撃を入れればいいか?
俺が考えたのはフェビアンの攻撃時だ。
攻撃と防御の同時行動は不可能だ。
可能だとしてもどちらかが疎かになる。
フェビアンの攻撃の瞬間こそがフェビアンにダメージを入れる最大のチャンス。
だからこその高威力カウンター。
しかし、せっかく苦手な口撃まで使って煽ったのに各務原は襲ってこない。
見かけに反して煽り耐性が高い。
激昂しているように見えて芯が冷えている。
考えてみれば、当たり前か。
未だ攻性防御は破られていない。
不用意に攻めて来なくても、守りを固めていれば勝手に自滅する。
派手な能力を駆使しながらも、精神干渉系などで敵の弱体化を忘れない。
各務原が精神干渉系の技を使うと知っている者は一体どれだけいるだろうか。
このアンバランスさが各務原の強さの秘訣なのかもしれない。
というわけでプラン2だ。
あらゆる攻撃にすぐさま対処できるというなら、対処できないほどの超威力の攻撃を放てばいい。
こういう思想はドレフュス一門が得意とするところだが、彼女達の専売特許というわけでもない。
【青】の一門にだって【赤】や【黒】に勝るとも劣らない超威力の【スキル】は存在する。
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