第72話 ぼっち飯の渚が紹介してくれた情報屋の情報を信じて進んでみるとその先には
教えてもらった宿屋は二階建ての豪華な作りで名前を『涼風の息吹亭』といった。
フロアに入ると夕方だというのに人であふれていた。どうやら一階が食堂兼酒場になっているようで皆、飲みながら騒いでいた。よその村から来た者が多いらしくこの街でやっていけるのか、2つ目の職業はなにがいいのかなどを話していた。
というかさっきのNPCはなんで自分の店で飲まないのだろうと場違いなことを思いついたが今はどうでもいい。私は給仕をしている女の子にエミリーについて尋ねた。
「ああっ、昨日の夜からおひとりで宿泊されていますね。食事付きでお供の方からお代を頂いているんですが一切食事に手をつけられていないんで心配してたんですよ。ご友人の方ですか? 一番奥の207号室にいらっしゃいますよ」
女の子は聞いてないことまで親切に答えてくれた。というかお供の方ってRDHのことだよな。あいつ律儀に金は払ったのか。いや、今はそんなことどうでもいい。207号室の前に立ち、私は深呼吸してドアをノックした。
「エミリー、真澄だよ。入るよ」
部屋は鍵がかかっていなかった。私達が入ると憔悴し頭を抱えたエミリーがそこにいた。
「時空間系の魔法でもない。いや、時空間系の魔法とは結局、本当に過去に戻るわけではなく時間軸の異なる並行世界に移動する移動魔法なのでは…時間が経過していると考えるのが最も適当…但し、並列して私が今まで生きてきた時間軸の中でヘンドリュック開拓村も同時に存在している。ここから導きだされるのは世界は多様な時間軸の中で並行に存在している。しかし、それでは明らかに物理法則を逸脱している。だったら彼らが大陸を階層と呼ぶのは。もしかして彼らが私達を人形のように扱うのは…」
エミリーは私達が入ってきたことにも気づかずブツブツ何かを言っている…
「ああっ、真澄様。あなた方がわたくしたちを人形のように扱うのは。そして、世界の在りようがごうまで物理法則に反しているのば!!!!!!!! kおnO背ぐぁああああああいgA」
エミリーは私がここにいる理由も聞かず、狂相のうちに私に問いを投げかけた。それはもはや言葉にすらなっていなかった。
「そこまでだ。エミリー・アブストラクト・エクシード。もうよい。眠れ」
またしてもRDHが突如現れ、エミリーに言葉をかけるとエミリーは途端に意識を失った。
「ふう、彼女が最も安らげる場所をと思いヘンドリュック自由街につれてきたが逆効果だったか…」
RDHの声は沈んでいた。
「ここまで症状が進行しては仕方がない。クエストの初期化しかないか…」
読んで頂きありがとうございました。狂相って言葉を出しましたが狂相貌の略で当然ある言葉だと思ってたんですが漢字のフィーリングがなんか合わない。アレって!?と思いぐぐってみましたがやっぱ出ない・・・造語なんですね。知らなかった。さて、明日の投稿ですが17時を予定してます。よろしくお願いします。ブックマーク、感想、評価、メッセージなんでもお待ちしております。




