第712話 ドレフュスは戦場でらしくない自分に気付く⑥
「ご自慢の【物理攻撃完全無効化】はそれで終わりか? その程度で、【物理攻撃完全無効化】を名乗られては本物の使い手に消し炭にされるぞ」
今度は私が見下ろす格好で喜汰方に挑発を入れる。
「【霧化】の状態でもダメージを入れられるのなら、【霧化】にメリットはない…プレイヤーならともかく、NPCに【吸血鬼の威嚇】が効いていないのは理解に苦しむよ。よほど抵抗力が高いのか。さっきの小僧には効いていたのにな…お前の言う通りだ。【霧化】は【物理攻撃完全無効化】とは似て非なるものだ。劣化版とすら呼べない。俺は精神威圧系スキル【吸血鬼の威嚇】と話術を駆使して【物理攻撃完全無効化】を演出していた。トッププレイヤーには一瞬の隙を、ミドルプレイヤーなら看破できても対処ができない自慢の防御法だ」
あっさりと【物理攻撃完全無効化】の種明かしをする。
自分の詐術を看破された場合、普通の人間は激昂したり、恥じたりするものだが喜汰方にはそんな素振りが一切ない。
自分の技の弱点を把握した上で誇りを持っているのだろう。
こういうタイプの人間は強い。
「それに【霧化】や【部分霧化】を使うと攻撃方法が限定されてしまう。さっきの小僧ならたとえ【聖属性】の武器を持っていても、嬲れただろうがお前はそうはいかん。【吸血鬼】の全力を出せる人型に戻っただけだ」
いつの間にか手にはサーベルを持っている。
長々と解説していたのは無限収納から武器を取り出すためだったのか。
「人でありながら人を辞めた者の力を舐めるなよ」
そう叫ぶと喜汰方はまっすぐこちらに向かって突っ込んでくる。
『ウィングブーツ』は迎撃には不利。
足の踏ん張りがまるで効かないのだ。
咄嗟に『ウィングブーツ』を脱ぎ、自由落下。
喜汰方が人型を維持して戦うなら、地上戦に持ち込める。
不慣れな空中戦に付き合う義理はない。
思惑通り、空中で方角を変え、私に迫ってくる。
「【赤量裂破砲】」
左手で構えを作り、遠距離攻撃を射出。
高出力の赤の光が喜汰方を飲む込み。
直撃したが殺せてない。
フル出力で放てば『フロストフィスト』が破損する。
加減しすぎたか。
ダメージは入ったが致命傷でもない。
真っ直ぐこちらに向かってくる。
「【三段抜き】」
手に持ったサーベルから【スキル】が放たれる。
【三段突き】の進化技。
【刺突】系スキルの中でも上位の技だ。
【剣術】も使うのか!?
全て完全に回避することはできたが、この腕前の相手に接近戦は不利か!?
距離を取り、態勢を立て直す。
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