第70話 ぼっち飯の渚が紹介してくれた情報屋の餞別は
「確認しておくが入部も嘘じゃないだろうな?」
「いえ、一応、本当ですよ。興味を満たせれば残ります。別に入部期間とかも決めていなかったですしね」
「情報を売るのをやめようかな・・・」
私のふてぶてしい態度に怯んだのか、やけに先輩が弱きになっている。
「部の内容を自由に決めてもいいって条件も気に入りましたし、実は私もなにか部活を創設しようと思っていましたからけっこう本気で動くつもりですよ。私にかかればつぶれかけの部を再生させることなど朝飯前です。お望みとあらばさらに広い部室を奪取してきましょうか」
「いや、いい・・・情報屋が目立ってどうするつもりだ。部活に関してはとりあえずこの部室が維持できたならそれでいい。詳細は、また後日考えよう。それで、エミリー姫の現在位置を知りたいんじゃなかったのか」
「ええっ、できれば大至急で!」
「エミリー・アブストラクト・エクシードは第2階層のヘンドリュック自由街にいる。幽閉されている様子ではないが様子が明らかにおかしい。行くなら早く行った方がいいぞ」
「どうやって知ったんですか?」
最初から疑問に思っていたことだが仮想世界の情報を三重野先輩は知りすぎている。まるで盗撮か何かしていたみたいにピタリと当てた。それも数時間前のことをだ。
「情報屋のスキルはほとんど決まっている。蟲を使ったか、カメラのハッキングか、盗聴体のセットだろう」
これまで黙っていた渚が自分の専門分野になったからか急に口を挟んでくる。しかし自分の個人行動を盗み見られていた理由だ。声が妙に刺々しい。
「全部、外れ。本当は企業秘密だが・・・まあ、いいか。信頼の証だと思ってくれ。私の職業は闇宣教師だ。悪霊などを召喚して対象にセットし、後でその声を聞くという方法だ。【霊視】のスキルが無いとまず、看破できない。まあ、現実世界ではそんなストーカーじみた真似はしてないから安心してくれ」
「ふん、今度、私にそんなふざけたものをストーキングさせたら悪霊だろうと叩き斬ってやるからな」
渚は不敵な表情で悪態をついた。
「それと黒仮面の男だが今、教えられるギリギリの情報を出すと奴はプレイヤー狩りを専門とするNPCのプレイヤーキラーだ。通称RDH。これまでプレイヤーを1000人単位でPKしてきたと思われる。一般のモンスターなどとは明らかに違い高い知性と適応力がある。どの戦闘職業のプレイヤーでもまんべんなく対応しPKできる。どういう原理かは不明だが進出鬼没で街の中でも乗り物の中でもダンジョンの中でも何処だろうと突然、現れプレイヤーに決闘を挑んでくる。出現条件はおそらくプレイヤーがNPCに度重なる抵触行動を振るった時だと考えられる。推定レベルは400台だ。まともに戦っても勝てない相手だ。十分に注意しろよ」
先輩は最後に私達を心配するように餞別をくれた。
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