第695話 ヨウメイ奮戦す⑪
「もちろん、【クエスト】のためよ。大規模クエスト、【領土戦】よ。【プレイヤー】同士が互いの領地と領民を賭けて戦う。勝った方が総取りよ。あんたらの大将は自分の野心のために領土と領民を売ったのよ」
「それは随分と一方的な物言いですね。攻めてきたのはそちら側。少なくとも真澄様は戦争回避のためにあらゆる手段を模索しておられましたが…」
流石にエミリーは容易く三栗原の口車に乗ったりしない。離れていても状況をある程度、理解していたようだ。
「それに、真澄様が領土を拡張される。結構なことではないですか。真澄様の統治によって領民は至高の輝きを得る。どうしてもっと積極的な拡充政策を取られないのか疑問です」
「ちっ、壊れたNPCに語っても無駄か…忠誠心がMAXになってて話が通じない。NPXCの自由度はどこにいったのよ?」
「こちらも負け犬風情に理想を語っても無意味でしたね。同じプレイヤーでありながら真澄様の敵に回るのですから知能の程度が知れるというもの…」
「そう。どのみち、私の邪魔をしたNPCなんて生かしておくつもりはない。壊れたゲームキャラクターなんて容量の無駄よ。私が光に返してあげるわ」
「最初から戦う以外の選択肢など無かったものを…無駄口を叩いて水を差したのはあなたの方では? いいからとっととかかってきなさい。私の後輩をこんなにした以上、それなりの代価は払ってもらいますから」
それが戦闘開始の合図だった。
私の目の前で達人者級剣士同士の決闘が始まった。
◇◆◇
ヨウメイを傷つけた相手は三栗原と言ったか。
真澄様と同じ異界人剣士。
鼻に付く言動を繰り返していたが実力は本物のようだ。
それは今、私の本気の打ち込みを刀一本で防いだことでも証明している。
弱卒であれば、刀か腕かどちらかが折れてる。
達人の要求する仕事についてこれる業物。
それを扱う達人級の技量。
二つが完璧に揃っていなければ、今の一撃は防げない。
三栗原は間違いなく凄腕だ。
ここまで腕が立つなら私の方が不利かもしれない。
エクシード流は対竜特化。
その技のラインナップの中に細かな対人技は存在しない。
冥王竜の抹殺を最終目的としたため、一撃必殺の技ばかり取り揃えている。
技量が同じと仮定した場合、得物の差が実力の差になりかねない。
私の【バスターソード惨式】は竜を斬るために作られた超大型刀だ。
本気になった三栗原の太刀筋についていけるだろうか。
三栗原の動きには祥様と同じ、手数重視の高威力攻撃、防御の無視の軽量回避特化の風格が見て取れる。
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