第691話 フェビアンは最も損な役割を務める⑥
【白気刧濁砲】の技後硬直から解放された各務原は再び襲いかかってくる。
先程は【白気】を奪われたことに動揺してしまい後手後手の対応になってしまった。
しかし、そのどれもが覚悟さえ決まっていればなんとかできる。
「【無漸無愧白撃】」
またしても、俺の技を!
心が一瞬、波打つが流されることはなかった。
慌てることはない【白気】を込めたただの右ストレートだ。
各務原の右ストレート着弾位置にヤマをはり、半歩先に動いて回避。
成功だ。
続いて肘の内側を強く叩くことで完全に勢いを無効化する。
要は相手を魔王級の達人者、俺は行動障害をかけられていると思えば済むことだ。
各務原の攻撃に対しては捌くことに重点を置けば対処は容易い。
そして、俺の攻撃。
首尾よく俺の打撃圏内に入ったが向こうは【白気】で防御力を強化され、こちらは攻撃力を弱体化させられている。
おまけに俺は【白気】を奪われたことで技も満足に使えない。
腕力が成人男性の平均ぐらいにまで落ちてしまっている。
できることは少ない。
よって、片手で軽く各務原の目を払う。
各務原の顔が苦悶に歪む。
ダメージはまるでないだろうが生理的嫌悪感が半端ないはずだ。
本当は眼球ごとぶち抜いてやりたかったが俺の技を盗んでいる。
急所狙いのカウンター技【断罪の瞬き】を使われては俺の指がもげる。
目潰しに侵入してきた指を瞬きで切り落とす技だ。
相手の敵意を持った目潰しにのみ反応する。
手で払った程度の攻撃ならオートカウンターは反応しないはずだ。
この隙に各務原の間合いから脱出する。
意識して普段の間合いより遠目に取る。
もちろんわざとだ。
「この野郎! ぶっ殺してやる!!」
各務原は激高し、腕に【白気】を充填させていく。
やはり、飛び道具を選んだ。
このためにわざわざこの距離を選んだのだ。
誘導されたとも知らず愚かな男だ。
一度避けられたのに、なんの工夫もなく【白気刧濁砲】のモーションに入る。
相変わらず発動のモーションから狙っている箇所が丸見えだ。
さらに充填中は動きが完全に静止している。
狙い通りの展開だ。
ナイフを取り出し、全速力で疾走。
一気に距離を詰める。
「【白気刧濁砲】」
俺が接近してくるのを恐れもせず、各務原は再び【白気刧濁砲】を放った。
先読みし、回避に成功。
【白気刧濁砲】は放出の間、完全に無防備だ。
全エネルギーを放出に使っているため、防御に回す【白気】が一時的に消失するのだ。
つまり今は防御白気ゼロの状態。
ナイフ一本でも十分、攻撃が通る状態だ。
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