第682話 クーリッジは疲れた身体に自ら鞭をうつ⑤
開祖の武闘家の大問題には僕がいずれ新たな答えを提示するつもりだ。
しかし、それも【吸血鬼】に勝利してのことだ。
とりあえずは【身体変化:霧】の攻略に挑まなければならない。
魔法使いのように、炎や熱で霧を蒸発させる、氷で水を凍結させるなどの方法が取れないなら大規模出力で水滴を全て吹き飛ばすしかない。
「【赤量裂波砲】」
猛烈な量の赤の光が喜汰方を襲う。
手持ちの最大出力の一撃だ。
唯一、真澄さんの【黄金気弾】には負けるだろうが、それ以外の誰にも負けない最強の技だ。
上手く不意をつけたらしく喜汰方に直撃した。
インパクトの瞬間、【霧化】していたが水滴を吹き飛ばすには十分なエネルギー量だ。
やったか!?
そう思ったが再生が僅かに遅いだけで効果はない。
7割ぐらいは吹き飛ばせたが残りの3割を吹き飛ばせなかったのだ。
しかも、こちらはごっそりと【気】を持っていかれたのに向こうにはダメージがまるで入っていない。
全ての水滴を一度にまとめて吹き飛ばさないと駄目なようだ。
だが、今のが最強の必殺技だ。
チャージを工夫すれば、もっと威力は上がるだろうが求められているのは出力値だ。
これ以上の出力を持った技となると放出自体は可能だが、エネルギーをどこから持ってくるのだという問題になる。
既にオーバーペースで戦いすぎて、ガス欠寸前だ。
こんなの、僕が望む戦闘スタイルじゃない。
常に消費量と精製量を考え、備蓄を残しイレギュラーに備える。
備蓄が5割をきる戦闘なんて数えるほどしか、やったことがない。
最近はどんな相手にも圧勝が続いていたから、計算自体をやっていない始末だ。
【魔王】戦で最後の一滴まで絞り出したのがまずかった。
戦闘なしで2、3日貯めだけに集中できれば、もっと大きなのが撃てるだろうが…
今の体調ではこれが精一杯だ。
なるほど、だから、師匠は【気の保存】の研究をしていたのか。
【気使い】にとって、【気】とは全ての要。
攻撃、防御、回復、身体能力強化、全てに利用する。
【気】の総量が多ければ、多様な選択肢を見出だせる。
今だって師匠なみの【気】の量があれば、こいつを容易く蹴散らせるし、失った体力を回復させることも可能だ。
戦闘こそが最大の稽古場とはよく言ったものだ。
数年かけても見つからなかった課題が、この2、3戦で山のように出てきた。
既に何から手をつけたらいいか分からない状態だ。
全ては真澄さんのおかげ。
そして、真澄さんについていくことを決めた僕の選択のおかげだ。
あの決断は間違いじゃなかった。
苦しい時もある。今だって死にそうな状況だけど、それだけは今、確信できている。
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