第68話 ぼっち飯の渚が紹介してくれた情報屋は予想通り変人だった
「天都笠渚に春日井真澄か。斡旋所の紹介もなしにリアルでいきなし会うとはめんど~じゃん」
放課後、第2新聞部の部室を訪ねた私達を待っていたのは風変わりな女だった。
「それで、バトルマニアの2人が単なる情報屋の私になんの用じゃん。情報を買うのか? 情報を売るのか? それとも第2新聞部に入部しに来たのか?」
「買いのほうだ。1人のNPCを探している。彼女の現在位置かそれを探せる人物の情報を頼む」
「エミリー・アブストラクト・エクシード姫か~」
「私達のことを探っていたのか?」
詳細を話す前に先読みされたことに苛立ったのだろう、渚の声のボルテージはやや高かった。
「この街で最も高く売れるのはあんたらの情報。あんたらの一挙手一投足は高値で売れる。私の最近の仕入れは主にあんたら。だから、これはチャンスでもあり、損失でもある。もっと情報を仕入れることができるがリスクも多い。フリーで有るべきか雇われになるべきか判断に迷うところ」
なんだかよく分らないが自分で納得し、自分で迷っている。情報屋という人物に会うのは初めてだが皆、こんな変わった人物なのか。今までこんなタイプの人間にはあったことがない、私は俄然、興味が湧いてきた。
「どんな情報でも売ってるの?」
「一応はな? 知らないものは調べる。市場などで知っている情報屋と情報交換して仕入れたり、現地に行って聞き込みなどをして情報収集をする。ただ、知っていても状況次第じゃ売らない特殊選択もある」
「じゃあ、私の交友関係!」
「オフラインに関しては現在調査中。オンラインに関してはプレイヤーキルマイスターの清水谷祥とギルドを組んでいる。清水谷祥以外となら報音寺響冴、天都笠渚そして現在、消息不明のエミリー・アブストラクト・エクシードとよくプレイしている。レベルはまだ4でありながら裏スキル『白気』を修得しており戦闘能力は極めて高い。福天市最大のダークホース、5年後にはどこまで伸びてるか予測不明の超ルーキー。付き合うなら超優良物件なのかタイタニックなのか見極めが必要というところか」
ううっ、仮想現実の交友関係はほぼその通りだが最後のダークホース以降のくだりがひどい、そんな評価がついていたのか。
「あの黒仮面の男については?」
「それが特殊状況。知ってるけど売れない。表層的な第一情報ならギリギリ売れる。それでもかなり高額だぞ・・・」
三重野先輩は絞り出すような声でそう答えた。
「高額ってどのくらい?」
「さっきのエミリー姫の現在位置と黒仮面の男の情報を合わせて100万でどうだ?」
「高すぎるわ!!!!!! ぼったくりかい!!!!!!」
「やはりそう思うか。お前の懐事情ではそう言うと思ったが・・・言っておくが後輩相手だし、これでもかなり割引してるんだぞ。なにせ私の情報体の命がかかっているんだからな」
「まあ、100万から割引くつもりは一切ない。なにも現金で100万用意しろと言っているわけではないんだ。お前には別の支払い方がたくさんある」
そういうと三重野先輩は不敵に笑った。
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