第678話 クーリッジは疲れた身体に自ら鞭をうつ①
身体が重い。どれくらい落ちていたのだろうか。
ココはマムルークの病室か?
隣にはフェビアンさんが眠っている。
確か【魔王】と戦い、一度は勝利したのだ。
ところが【魔王】は復活してきた。
物語などでは【魔王の復活】はよく見てきたが、実際に経験すると絶望感が半端なかった。
頭部を吹き飛ばしたのに生き返ってくるとは反則すぎる。
僕とフェビアンさんは復活した【魔王の瘴気】にやられたのだ。
疲労困憊すぎて【白気】の精度の維持ができず、【瘴気】をまともに吸ってしまった。
真澄さんがまだ戦っていたのだ。
僕達だけ落ちるのはなんとしてでも避けたかったが身体がついていかなった。
薄れる意識の中でディズレーリさん達が助けにきてくれたのは分かった。
ここまで連れてきてくれたのはヨウメイだ。
ヨウメイには【魔王】の手から必ず守ると約束し、会見の場に連れていったのに逆に助けられてしまった。
非戦闘タイプのはずなのに、あれほど恐ろしい【魔王】の前にもう一度立てるとはとんでもない肝っ玉だ。
【魔王】があそこまで強いとは想いもよらなかった。
世界は広い。
今の自分がどれだけ頑張ろうと手も足も出ない存在がいる。
それが自覚できただけでも収穫だった。
真澄さんと【魔王】との決戦はどうなったのだろうか。
軽く調べてみると、まだ真澄さんの反応も【魔王】の反応も残っている。
どちらも消耗はしているが、意気軒昂だ。
今は小康状態なのか?
問題なのは敵か味方かよく分からない存在がそこかしこに散らばっていることだ。
回復が終わっていないのに目が覚めたのは侵入者の存在を探知したからだろう。
これだけ、疲労しているのに強制的に覚醒させられた。
どうやら敵の増援がやってきたようだ。
ひとりひとりがかなり強い。
僕と同等かそれ以上の存在だ。
この疲弊した身体で勝てるだろうか。
たぶん、【白癒眠】が軽くかかったんだな。一度も使ったことのない【スキル】だったが仕組みぐらいは理解している。
今度は短時間での睡眠でももっと効果の出るように改良しよう。いや、任意の要素を自由に選べる方が先か。
今は【気】よりも体力の回復を優先したかった。
されと、できるできないじゃないな。
やるかやらないかだ。
ベッドから起き上がり、索敵を開始する。
【魔王】戦ではカッコ悪いところをいっぱい見せた。
望んで最強の敵と当たったのににとんだ結末だ。
どんなに【魔王】が強くても、最終的に勝つのは自分だと思っていた。
ましてや実質3対1なのだ。
隣には僕を倒した真澄さんがいる。
師匠と同格のフェビアンさんもいる。
この戦力で負けるはずがない。
重要なのはこの面子の中でいかに自分の有用性を示せるかだ。
そんなプランを立ててた過去の自分を殴ってやりたい。
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