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第677話 ヨウメイ奮戦す⑧

 途方に暮れたような様子で三栗原は続ける。


 「あなたを殺しても支払ったデスペナが戻ってくるわけでもない。経験値も微々たる量しか入ってこないでしょうね。仕様を変更したコストの方が高ついてるぐらいよ。自分でもなんでこんなことをしてるのか理解に苦しむわ…」


 片手で顔を覆い、泣いている。

 泣いてどうするんだ!

 半分以上、理解不能な内容だったがどうやら相当、切羽詰っているらしい。

 要するに利益を求めてではなく、メンタルの回復を為すために私を殺そうとしているらしい。

 それも半ば、無自覚でだ。

 クレバーでタフな性格だと思ったが、意外と逆境には弱いのかもしれない。

 私と同じだ。

 同時に穴でもある。

 自分と似た性格だからよく分かる。

 今の三栗原は自分で自分の首を締めている。

 その証拠に、採算度外視で攻めてきているのにその意味すら自覚していない。

 支離滅裂だ。

 利益に目敏い者が、利益を度外視して行動している。

 明らかに非合理的な行動だ。

 それは間違いなく弱点であり、急所だ。

 ならば、そこを突けばいい。

 挑発し、さらなる隙を作るのだ。

 既に冷静さが失われている。

 さらにメンタルが崩せば、もっとチャンスが生まれてくる。

 そこに私が生き残るための勝機が生まれてくる。


 「笑えますね、人生の敗残者というのは」


 嘲笑し、煽ってやると憎悪が膨れ上がる。視線だけでも殺せそうだ。

 内心、心臓がバクバクいっているが意思の力でねじ伏せる。

 こうでもしないと死ぬのは私だ。


 「可哀想ですね。気持ちは分かります。なんて言って欲しいんですか? 敵であるこの私に? 私はあなたに殺されかけたんですよ」

 

 さらなる敵意を煽るため、小馬鹿にしたような口調を付け加える。

 薪に火をくべたというような状態ではない。ガソリンをぶっかけた時のような反応が起こる。


 「そんなこと言うわけないじゃないですか。誰もあなたに同情したりする人間なんていませんよ。むしろ、皆、せいせいしていますよ、脱落者が出て良かったと」

 

 口調だけでは不十分だ。口元に笑みを浮かべながら続ける。

 もう、三栗原は悲劇のヒロインを気取っていない。

 抹殺者の気配に切り替わっている。

 もう会話も成立しなくなっているだろう。

 だが、それでも続ける。  


 「あなたのやってることは一から十まで全部、間違えていますよ。敵である私に同情を求める。金とコストを使いすぎ。戦っても意味のない相手に妄執している。それらも確信を持ってやれてるならいい。けれど、行き当たりばったりでそれをやっているならただの負け犬だ。剣士として敗北の感情処理すら満足にできないなら剣なんて捨ててしまった方がいい」


 読んで頂きありがとうございました。明日の投稿もなんとか頑張ります。

 ちょっと、次の話との繋ぎが悪いので後ほど改稿しますね。お待ち下さい。

 ブックマーク、感想、評価、メッセージ等あれば何でもお待ちしております。

 皆様のポチッとが私の創作の『目覚ましが鳴らなかった…危ない…なんかおかしいと思って自然に目が覚めたが熟睡してたら死んでた』(意味不明)ですので何卒よろしくお願いします。


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