第671話 ヨウメイ奮戦す②
部屋に人影が。女だ。
ヤマが当たった。
【トラップ】を起動。
扉に触れた瞬間、大量の電流が放出される。
連動して、巨大な鉄杭を発射。
完全に不意を突いた。
達人者級といえど、三栗原のように回避に特化し、防御はそれほどでもない人間はいる。
顔も確認できなかったが今のを喰らって無事な人間はそうはいないだろう。
これで1人撃破か。
私の戦術スタイルは『嵌めて殺す』だ。
必ず先手を取る必要がある。
よって私が帝国の兵士なら自由行動できる敵の要塞の中でどこを最初に狙うかを考えた。
ただの思いつきだったが、私が最初に閃いたのは武器庫だった。
どれだけ堅牢な要塞でも武器・弾薬がなければ、戦闘継続は不可能だ。
最初に武器庫に火をつければ、労せずして敵方に大ダメージを与えることができる。
そう思い武器庫に、即席の【トラップ】を作って待っていた。
敵が頭のきれるタイプで助かった。
さて、どうするか。
このまま、第2の敵が現れるのを待つべきか、新たな侵入者を探して移動すべきか。
武器庫の他にも要塞には重要施設が山ほどある。
それらを破壊される前にこちらから迎撃に向かいたいが、いかんせん私は弱い。
遭遇戦で勝てる可能性は万に一つもない。
上手く状況を整えて戦わないと瞬殺される。
できれば、この場にトラップを集中させて誘導させるのが望ましいが…
どうやって誘導させるべきか。
時間さえあれば、敵が狙いそうな重要施設をハリネズミのように武装させることもできたのだが。
いかんせん、私の参戦が遅すぎた。
本来、こんな後手後手での戦いは私の性に合わないのだ。
拠点防御の優位性もまるで活かせていない。
本当に腹が立つ。
戦う前に完璧な状況を作り上げ、本番はひたすら待ちに徹する。
それが私の本来の戦闘スタイルだ。
愚痴っても仕方がないか。
移動しながら考えよう。
去る前に一目、遺体の損壊状況を確認しようとセーフティゾーンから身を乗り出す。
しかし、どこにも遺体が存在しない。
それどころか血痕すら存在しない。
まさか、あの必中のコンボを完璧に避けたというのか。
そんなこと読んでないと不可能だぞ。
私と戦闘経験があるとでもいうのか?
「ヨ~ウ~メ~イ~」
その時、耳慣れた声があたりに響く。
セーフティゾーンにまで聞こえるほどの大声量だ。
「探していたのよ、あんたを~いるんでしょう。こんなチンケなトラップを使ってこないで出てきなさいよ~」
見覚えがありすぎる。なんで死んでいないのだ。地中深くに生き埋めにしたはずなのに。
「どうせ、あんたのことだからここらへんで張ってるのは分かっていたわよ。私はそれを読んでワザワザ来てあげたんだからね~♪」
武器庫に侵入してきたのは私が倒した最強の敵、【次元斬り使い】の三栗原だった。
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