第670話 ヨウメイ奮戦す①
ちっ、侵入された。真澄様が殺られのか?
いや、それはない。
【探知】はそれほど得意ではないが、あれほどのエネルギー体のぶつかり合いを見落とすほど無能でもない。
最初に真澄様のエネルギー総量が爆発的に上がった。
その後、釣られるように【魔王】のエネルギー総量も桁違いに上がった。
しばらく削り合いが続いていたが、最後、真澄様は空間を震わすほどの猛烈なエネルギー凝縮を行った。
そこでロストした。
両者の【気】は急速に小さくなり追えなくなった。
しかし、少なくとも真澄様は【魔王】を相手に五分の戦いをされていた。
【魔王の瘴気】の影響で肉眼で見ることは叶わなかったが気配だけでもとんでもない戦闘だというのは分かった。
あれが本気を出した春日井真澄の戦闘モードか…
私はあんな人にちょっかいを出してよく生きていたものだ。
無知ほど怖ろしいものはない。
想像しただけで、背筋に寒気を感じる。
妙な邂逅がいいカンフル剤になった。
おかげで頭が明瞭に冴え渡る。
真澄様が【魔王】を足止めされているなら、別働隊が動いたのだろう。
【魔王】の正々堂々なんか当てにはならない。
私が帝国の陣営でも一騎駆けなんて馬鹿な真似は行わない。
制御できない最強戦力が正面突破していったなら、それを陽動にして手薄な本体を狙う。
それも時間差をつけて分散と撹乱を行えば尚、上手くいくはずだ。
こういう事態に備えて戦力は温存しておきたかった。
しかし、【魔王】がこちらの想定をはるかに超えて強かったのは誤算だった。
ほぼ全戦力を投入したのに勝てず、あまつさえ、最高責任者の真澄様に丸投げしたような形だ。
そりぁ、あれだけの強さを持っていたら私達は邪魔だろうが、それでも代えのきかないトップが最前線で戦うというのは部下からしてみればいたたまれない。
真澄様がもっと駄目上司であれば、顎で使ってやるのだが生憎と思いやりに満ちた理想の上司だ。
その分、罪悪感や無力感が半端ない。
いずれにせよ、まともに動ける戦力は私だけだ。
マムルークの戦力のほとんどは【魔王の威嚇】によって戦意喪失している。
達人者級は【魔王】との戦闘で猛烈に消耗している。
私が迎撃に当たるほかない。
名誉挽回のチャンスでもある。
奴らの目的は何だ?
それが分かれば先回りして、【トラップ】を仕掛けることができる。
一応、簡単な【トラップ】は敷設するように指示を出しておいたがどの程度、完成しているのか確認すらできていない。
時間がなさすぎた。
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