第665話 春日井真澄VS魔王:都洲河廣晃㉘
さっきから都洲河の様子がおかしい!?
攻撃に積極性がなくなってきている。
【魔皇紋励起】の制御が上手くいっていないのかもしれない。
だとすれば、チャンスだ。
劣勢でも諦めず、プレッシャーをかけ続けた結果が好機を引き寄せた。
ここで超必殺技でも決めれば、流れを完全にこっちに持ってこれる。
だが先程の【馘首黄金気弾】は避けられた。
【黄金烈眞槍】はパワー不足。
【黄金烈眞槍掌】は警戒されている。
手持ちの超必殺技は全て攻略されている。
さらに、現状、都洲河に攻撃を当てるのはひどく難しい。
多分、都洲河は回避にポイントをそれほど振っていない。
なのに攻撃が当たらない。
純粋に私の技量不足だ。
達人者級と当たるといつもこの問題に悩まされる。
魔法と同じで要・修行である。
かくなる上はこの勢いのまま、新必殺技を生み出すしかない。
必要なのは威力だ。
一撃で【魔王】をも絶命させる威力。
都洲河相手に二度目はない。
決まらなければ、奴は即座に攻略してくる。
そして、命中。
当てるのは得意でない。
今後の戦いを考えれば避けられない一撃というのが望ましい。
だとすれば、【自動追尾】か!?
しかし、それだと威力が落ちそうだ。
【全方位攻撃】だと威力が分散するし、【飽和攻撃】は密閉空間が作れない。
だとすれば、結局、やることはいつもと同じか。
放出技では都洲河は捉えられないのなら密着し、拳に乗せて撃つしかない。
いや、拳にのせて撃つ必要はないのか!?
今の強化された拳はそれだけで十分に凶器だ。
妙な技術を乗せず、その分、【威力強化】だけにエネルギーを注ぎ込めば…
よし、雰囲気はつかめた。イメージも湧いた。
一度、後方に大きく跳び、間合いを取る。
そうして助走をつけて都洲河に向かう。
その間、回せるだけの【聖皇理力】と【黄金気】を右拳に集中。
おおっ!? 凄いエネルギーだ。
あまりの威力に右拳が発光している。
制御に失敗すれば右拳がはじけ飛びそうだ。
助走の間、制御に集中できるのはありがたい。
この助走をつけてからの必殺技放出という発動スタイルは都洲河と似ている。
ずっと戦っていたせいで、スタイルの模倣までできた。
敵対しているが都洲河には感謝の念しかない。
こうして、超必殺技のヒントまでくれた。
きっちり勝つことで借りを返したい。
「【聖皇式魔王堕とし】」
やはり、なぜか都洲河の反応が僅かに遅れる。
だが、左腕を入れ、しっかりと防御姿勢を取っている。
しかし問題ない。
【聖皇理力】と【黄金気】によって強化された拳は都洲河の左腕を折り、そのまま腹部を貫通した。
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