第653話 春日井真澄VS魔王:都洲河廣晃㉑
私に殴れた都洲河はあっけなく吹っ飛ぶ。
ディズレーリ達3人も化物でも見るような顔をして私を見ている。
ボロボロの様相でそんな顔をされると私がそうさせたように見えるのでやめてほしい。
しかし、思った以上の威力だった。
まだ、【聖皇理力】を【ステータス強化】に変換しただけだ。
本命の【威力強化】などには使っていない。
それでもこの威力だ。
上手く【魔王】の核にダメージを与えることができれば勝てるかもしれない。
私がようやく自信を取り戻すと、都洲河も不敵な笑みを浮かべながら立ち上がってきた。
「ふざけた出力値なのだよ。なにやら策を弄していると思えば、第3系統外の並列展開を成功させるとは…これまでもバカげた出力値だったが、修正せず、さらに輪をかけて出力値のみを上げてくるとは…どういう戦術ドグマなのか理解に苦しむのだよ…」
【高速修復】を発動させながら、感想を述べてくる。
だが頭部損傷が未だ治りきっていない。
その証拠に額からの出血が止まっていない。
私の攻撃力がついに都洲河の回復力を上回ったのだ。
都洲河もそれに気付いたのだろう。
額から流れる血を見ていつもの不敵な笑みを浮かべる。
互角の条件にまで追いついたのに都洲河の戦意は未だ旺盛だ。
「前座の3人はさっさと舞台から降りるのだよ。どうせ、止めを刺そうとすれば春日井の邪魔が入る。要らぬ手間は省きたいのだよ」
そう言われるとディズレーリ、グラッドストン、パフレヴィーは【魔王】のために道を開けた。
3人の力を持ってしても、時間稼ぎが精々で勝てる方策はなかったのだろう。
苦々しい表情をしながらも素直に道を譲った。
仲間の回復を考えずに行動できるので私としても好都合だ。
「お疲れ、3人共。時間稼ぎに感謝する。おかげでなんとかなったよ」
道を開けてくれた3人に労いの言葉をかける。
本当は回復もしてあげたいが、今は少しでも体力を温存したい。
「まだ、奥の手を持ってたなんて驚きだぜ。最初から出してくれれば良かったものを…」
ディズレーリはボロボロの服装になりながらも憎まれ口を叩く。
「無理でしょう。春日井はずっと全力で戦っていました。なにか【代償】や【条件】でもあったのでしょう。でなければ、我々の命をくれなどと春日井は絶対に言いませんよ」
一方にグラッドストンは衣類こそズタボロだが、どこか品がある。
「じゃが、ワシらが命を賭けたかいはあったな。人間がココまでたどりつけるなどとは思いもよらんかった…」
そしてパフレヴィーは私を見て目元に涙を浮かべている。
3人は文字通り命がけで私をこの場に送り出してくれた。
彼らのためにも絶対に負ける訳にはいかない。
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