第652話 春日井真澄VS魔王:都洲河廣晃⑳
私の身体に力が溢れてくる。
それもコップに水が注がれるような陳腐なものではない。
滝の下にコップが置かれているような感じだ。
私というコップが今にも割れそうだ。
エネルギー量が極大すぎる。
【聖皇式理力探知】の時とはまるで違う。
これがディオがためらった理由か。
圧壊する前に発動は可能だが、発動し僅かにでも消耗すれば、その瞬間押しつぶされる。
ディオが自らに封印をかけてまで、エネルギー量を絞ってくれているのにこれだ。
さすが第3系統外。
鬼畜すぎる。
しかし、切り札はある。
【黄金気】だ。
最大出力で展開し、身体を守る。
私が考えた切り札とは【黄金気】と【聖皇理力】との並列展開だ。
もう一つの第3系統外【黄金気】によって、【聖皇理力】の圧倒的なエネルギー量から自らを守る。
よし成功。圧倒的な圧力を感じながらも自由自在に動ける。
【黄金気】は内から湧き出るイメージ。
【聖皇理力】は外から溢れ出るイメージだ。
【黄金気】でコーティングされた肉体に【聖皇理力】を纏う。
いわば二重構造だ。
【神亀の加護】の時も思ったが【黄金気】は並列使用に向いている。
ここまで数多の修羅場を【黄金気】を使ってくぐり抜けてきた。
【黄金気】のコントロールに関しては自信がある。
問題は精神への影響だ。
今のところ問題はない。
【聖皇式理力探知】を始めて使ったときは脳に損傷を与えるほどの情報量を与えられ、死にかけたが。
圧倒的なエネルギー量を純粋な【ステータス強化】に使っているからだろうか。
いずれにせよ好都合だ。
副作用が出ないうちにやらせてもらう。
ディオは動かず鎮座している。
いつもの暑苦しさが鳴りを潜め、無言で集中している。
たぶん、私が圧壊しないギリギリのエネルギー量を計って対処してくれているのだろう。
戦闘への参加は無理か。
ディズレーリ、グラッドストン、パフレヴィーも限界だ。
一瞬、4人プラス1匹で同時攻撃をしかければとも思ったが、すぐにその弱気を振り払う。
ここまでお膳立てを整えてくれたのだ。
最後は私が【魔王】に止めを入れよう。
ディズレーリ達の戦場に割って入る。
出力制御がまるでできておらず凄まじい砂埃だ。
突如、戦闘に参加したのに都洲河にはまるで動揺がない。
瞬時に私を捉え、迎撃の【九天必滅】を放ってくる。
今までは【神亀の加護】と【黄金気】の全力展開でなければ防げなかった。
しかし、今の私なら…
私は防御もせずに顔面で受けきり、【聖皇理力】、【黄金気】、【神亀の加護】で強化された拳を都洲河の顔面に放った。
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