第650話 春日井真澄VS魔王:都洲河廣晃⑱
(少なくとも一人、誰かが【聖皇理力】を使わないと噂が広まらないでしょう。最初の一人に【聖皇理力】を分け与えたのは誰なのさ?)
多くの達人者級が【聖皇理力】の噂を聞きつけてディオに勝負を挑んだ。
【聖皇理力】が万能の力であると広く知られていたからだ。
ではディオに挑んだ者達はどうやって、その噂を聞きつけたのか?
やはり、どう考えても私以外の誰かに【聖皇理力】の力が渡っているはずなのだ。
それとも【聖竜皇】が2体いるとでもいうのか。
(無論この力を持つのは私だけです…最初はただの少女でした。幼いころから病を持ち、出会ったころにはもう虫の息といった感じでした。母親が奇妙な人間で神の存在を否定し、神の代理存在として竜を崇めていました。母親があまりにも熱心に祈るので、私の耳にも入り、戯れに【聖皇理力】を使って治してやりました)
罪を告白するような重々しい口調でディオは語り始める。
(死の間際に、半分【蘇生】に近い状態で【聖皇理力】を使ったせいでしょうか、少女の【聖皇理力】に対する適性は非常に高くなっていました。私も人間が【聖皇理力】をどう使うのか興味があり、少女が望むまま【聖皇理力】を渡してやりました。少女は【聖皇理力】を他人の癒やしのために使いました。自分がずっと病に苦しんでいたせいでしょう、他人を癒すことに喜びを感じているようでした。私はそれを好ましく思い眠りにつきました。次に少女に会った時、彼女は一国の女王になっていました。長く戦が続いた世の中で彼女はずっと他者を癒やし続け、その功績が認められたようです。その国の人間は皆、私を崇め大切に扱ってくれました。首都をあえて竜都と名付け私に最大限の敬意を払ってくれました。こういう竜と人間の関係も悪くないと思い私はまた眠りにつきました。次に出会った時、彼女は大きく歪んでいました。自分一人だけ【聖皇理力】で不老不死を実現し、周囲に奇妙な人間を侍らしていました。どうやら、【聖皇理力】の力を使い全ての人間を救おうとし、失敗したようです。国は滅び、竜都はみる影も無くなっていました。彼女は失敗の原因を【聖皇理力】の出力不足だと考え、しきりにさらなる【聖皇理力】を求めました。いくら適性があるからといって、全エネルギーを解放してしまえば、彼女は死にます。私はそれを知っていたので量を調節していたのです。それが彼女の怒りを買ったのでしょう。もっと多くの【聖皇理力】があれば、もっと多くの人を救えた。しきりにそう喧伝して、まくし立てます。結局、ケンカ分かれしてしまうと私に刺客を放ってきました。私を殺してでもさらなる【聖皇理力】を求めたのでしょう。今も【聖皇理力】の供給は続いています。どこかで生きて私の命を狙っているのでしょう。これが私の【聖皇理力】の噂が広まった顛末です)
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