第648話 春日井真澄VS魔王:都洲河廣晃⑯
ディズレーリ、グラッドストン、パフレヴィーが生命賭けで私を守ってくれている。
壁役がいなければ、敗色濃厚な戦いだ。
彼らが生命賭けで作ってくれた時間だ無駄にはしない。
私は通路を通して、聖竜皇ディオクレティアヌスに語りかける。
(ディオクレティアヌス聞こえる?)
(おおっ!? 主殿。ついに我の力を必要とされたか、なんなりと命じられよ)
相変わらず、大仰な表現でディオクレティアヌスは私を歓迎してくれる。
(傷は大丈夫?)
帝国の陣地で派手に暴れ回ってもらったが三栗原から【次元斬り】の直撃をもらい、慌てて送還したのだ。
本題に入る前の世間話の一環だが、そういえば、今まで確認もしていなかった。
(【次元斬り】でつけられた傷のことですかな? 我輩は時空間系の攻撃に対する抵抗力は弱いのです。普段は『神器鎧ダームスタチウム』で無効化するのですが、あの時は装備しておりませんでしたからな。無様な姿を見せてしまいました。まあ、見た目は派手でしたが致命傷ではなかったですな。主殿の【黄金烈眞槍掌】の方が治りが遅いですぞ)
ピンピンしているように見えたが【黄金烈眞槍掌】のダメージがまだ癒えていなかったか。
(今日はあなたにお願いがあって呼んだのよ。単刀直入に言うわ。ありったけの【聖皇理力】を私に頂戴)
そうなのだ。私の策とは【神亀の加護】によって生じる重量増加を【黄金気】と【聖皇理力】で無理矢理カバーするというものだった。
(【聖竜理力】をですか…以前、お話したはずですが…我輩は【聖竜理力】を求める俗物的な人間が大嫌いだと…)
ディオクレティアヌスの声は冷たかった。私の提案に露骨に幻滅した雰囲気を感じる。
(我輩は我輩の力を求めて我輩を殺しにくる人間が大嫌いなのです。土足で我が神殿に押し入り、狼藉を働き、なおかつ自らを正当化する。【聖皇理力】を求めてくる者は皆、欲深かで身勝手な智慧のない生き物です。主殿にはそんな愚鈍な人間とは距離を置いてをほしいのです)
幻滅させるような提案をしてしまったが、それでも私をまだ、主と認めてくれている。
その証拠に未だ敬意を払って接してくれる。
(以前、渡した程度の【聖竜理力】なら問題は無いでしょう。あの程度では世界の理を変えることすらできません。ですがありったけの【聖竜理力】となれば、話は別です。上手く使えば【死者の蘇生】や【時間遡行】すらも可能な万能の力です。但し、使えるのは一度きりでしょう。それ以上は主殿の心と体が持たないでしょう)
読んで頂きありがとうございました。明日の投稿もなんとか頑張ります。
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