第647話 春日井真澄VS魔王:都洲河廣晃⑮
都洲河の必殺技、【九天必滅】が迫る。
私は事も無げにブロックする。
【神亀の加護】と【黄金気】の組み合わせならダメージは通らない。
もう何度も受けてきた。
なんだか慣れてきた感すらある。
都洲河も技を防がれたのに動揺がない。
当たればラッキー程度の一撃だったのだろう。
すぐに間合いを取って後退する。
「パフレヴィー、今のはもう1回使える?」
都洲河が後退したのを確認したのを見届けるとすぐさま、確認を入れる。
「無理じゃな…使っても次はレジストされる。1回目より、2回目の方がかかりにくいんじゃ。しかも黒佐賀より拘束時間が短かったぞ。ありゃ、バケモンじゃ」
パフレヴィーは感心したような面持ちで感想を述べる。
やはり、そうそう上手くはいかないか。
もっと深く連携が取れていたらと後悔するが、これ以上の結果をねだるのは虫のいい話だ。
今だって出来過ぎなぐらいの結果を得ている。
元より、いくら仲間だからといって自分の手の内を全てさらす馬鹿はいないだろう。
頭を切り替え次の方策を練る。
しかし、いくら考えても良い手など出てこない。
決定的に戦力が不足しているのだ。
工夫などでどうにかなる事態ではない。
直弟子召集に失敗したのが本当に痛い。
かくなる上は戦闘開始前から考えていたあの手を使うしかないか…
制御に成功する自信がまるでなかったから、できれば使いたくなかった。
交渉から始めるので事前準備にも時間がかかるし…
けれど、盾が3枚あるこの状況でしかチャレンジはできない。
私一人にまで追い込まれては試すことすらできなくなる。
よし決意は固まった。
後は進むのみ。
「ディズレーリ、グラッドストン、パフレヴィー。奥の手を使う。悪いが3人の命、私にくれ」
他人に死んでくれと頼むのはこれで何度目だろうか。
酷く気落ちする内容だが私にはこんな頼み方しかできない。
「元より、そのつもりだ。【魔王】を相手に生き残れるとは思ってね~!」
「戦場での死こそ、武人の本懐です。なんら躊躇う必要などありません」
「まあ、そうなるじゃろうな。最後の相手が【魔王】とは楽しい人生であった…」
突然の無茶な要求にもかかわらず、3人とも間髪入れずに答えてくる。
「私は今から奥の手を完成させる。その間、完全に無防備になる。なんとか守ってくれ」
「おうよ! ノロノロしてっと俺らが倒しちまうぜ。早く準備を終わせないとお前の分は残ってないかもしれないぜ」
「構いません。この生命を盾としても、あなたに指一本触れさせないと約束しましょう」
「まあ、ただでは死なんよ。【魔王】の腕の一本でももぎ取ってワシの生涯の誉れとさせてもらおうかな」
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