第645話 春日井真澄VS魔王:都洲河廣晃⑬
「やはり、ヨウメイの読みは正しかったな。ただの会談で終わると思っていたら、そのまま戦闘に入るとは…しかも、【白気使い】でないと入れないフィールドを作りやがって…見ていて胃が痛かったぜ。今後は絶対にお前の単独行動は認めないことにしよう」
ディズレーリが私の顔を見るなり、未練たらたらな文句を呟いてくる。
「フェビアンとクーリッジをここまで消耗させて、なお勝てない相手か。そして、春日井殿は1人健在。これは血沸き肉踊る展開じゃの…フォフォフォ」
パフレヴィーは【魔王】と対峙してもなお、戦意旺盛だ。
「退却も立派な戦術ですよ、春日井。独りで全てを背負い込もうとするのは愚者のすることです」
グラッドストンは私へのお説教を絶対に忘れない。
達人者級が三者三様の感想を漏らす。主に私へのクレームばかりだが。
そう、私は【白澄】で【空間浄化】を行えば、魔王の【瘴気】を祓えると考え、 内部通信(気)を使って3人に加勢を頼んでいたのだ。
唯一の誤算は【白澄】で【空間浄化】を成功させた後、3人が攻撃を入れなかった点か。
都洲河の虚を突ける少ないチャンスなんだから攻撃を入れろよ、この3馬鹿。
すると後方からヨウメイの駆け足で離脱する音が聞こえた。
フェビアンとクーリッジを器用に担いでいる。
なるほど3人はフェビアンとクーリッジの離脱を優先させたのか。
都洲河にダメージを入れたのは実質、2人だけだ。
あの規模の攻撃は3人では不可能と考えたのか。
確かにディズレーリは達人者級だが内政者向き、グラッドストンは用兵が仕事だ。パフレヴィーは少し歳を取り過ぎている。
同じ達人者級でもフェビアン達には劣るということか。
できれば、2人並のアタッカーが欲しかったが。
「しかし、【魔王】か…間近で見るとさらに存在感が半端ねえな…俺では、壁役が精々だぞ…」
早くも弱音を漏らすディズレーリ。
そういえば、マムルークから都洲河を見たときから、弱音を吐いてた。
私の【黄金気】の防御を抜いて攻撃を入れてきたから、かなりの攻撃力を持っていると思ったが違ったか。
「ディズレーリがそんなでは困りますね。私はあなたより弱いんですよ」
グラッドストンが弱気なディズレーリをたしなめる。
「ふぉふぉふぉ、自信が無いなら若いのはそこで見ておればええ。ワシと春日井殿だけで戦う故な」
「ご冗談を。パフレヴィー様が現役だったのは、もう何十年も前の話。今では我々の方があなたより強い。【魔王】への一撃は我々が請け負いましょう」
グラッドストンが気丈な顔をして【魔王】に立ち向かった。
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