第643話 春日井真澄VS魔王:都洲河廣晃⑪
残った【黄金気】を全力展開し、都洲河に挑む。
こんなハイペースでは長期戦は臨むべくもないがやむを得ない。
しかし、戦闘開始時と同じように私の攻撃は全く当たらない。
私の攻撃は全て見切られ、逆に都洲河からの攻撃は面白いように喰らう。
【神亀の加護】のおかげでダメージこそ微量だ。
しかし、完全に詰んでる状態だ。
攻撃は当てられないが防御が得意なプレイヤーと僅かなダメージしか当たえられないが完全回避を持ったプレイヤーとでは明らかに後者が有利だからだ。
極端な話、私はゼロのダメージしか与えられないが、都洲河は1のダメージを与えることができる。
100回攻撃を続ければ、ダメージ100だし、1000回攻撃を続ければダメージ1000だ。
長期戦になれば確実に敗北する。
しかも、私が早晩、ガス欠に陥るのは目に見えているのだから。
ここは一旦、退却するか?
絶対に勝てない勝負であれば退却するのも一つの手段だ。
格好は悪いが背に腹は代えられない。
そもそも、なんでここでの決闘に拘ったんだっけ。
一度、退却して回復を図り、戦術を練る。
そうして最後に都洲河に勝つ。
何もこの場で決着をつけなくてもいいのだ。
シナリオは固まった。後は実行に移すだけだ。
問題はフェビアンとクーリッジを伴っての退却ということだ。
2人共なんとか戦闘に参加しようとしているが身動きすら取れない。
【瘴気】の影響だ。
【白気】の展開ができず、【瘴気】をまともに吸い込み行動不能に陥っているのだ。
【魔王】に勝負を挑めるのは限られた人間だけなのだ。
弱卒は【魔王】を見つめるだけで死に、資格を持たない強者はあっという間に淘汰される。
そして、力を無くした者は【魔王】の贄となるのみ。
それが【魔王】に勝負を挑むということなのだ。
しかし、ここまで奮闘してくれた彼らを置き去りにしておくわけにはいかない。
たとえ、お荷物でも絶対に生還させる。
彼らを見捨てるぐらいなら、死んだ方がましだ。
問題はどうやって2人を生還させるかだ。
私が都洲河の相手を引き受けるからなんとか人手が欲しい。
この場は都洲河の【瘴気】が渦巻いており、もはや並の人間では即死のレベルだ。
ディズレーリやグラッドストンであっても身体に影響を与えるほどの濃度だ。
助けにきてもらっても二重遭難するおそれがある。
なんとか【瘴気】を抑える方法はないものか…
その時、私の脳裏に天啓が降りる。
すぐさま、内部通信(気)を使い準備を整える。
タイミングが重要なのだ。
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