第638話 春日井真澄VS魔王:都洲河廣晃⑥
私が防御し、都洲河の足が止まるとすかさず、フェビアンも攻撃に入ってくる。
しかし、都洲河は避けることなく直撃を喰らう。
ダメージは通っているが芯に届いていない。
よって、都洲河は意に介さず動いてくる。
しかも、フェビアンのことは無視し、私達の方に攻撃を入れてきた。
流石に虚を突かれ、吹き飛ばされる。
足に力が入っていなかった。
吹き飛ばされはしたが、着地に成功し私達もダメージを負ってない。
フェビアンも無事、離脱した。
クーリッジの状態を確認するためにも軽口を叩いてみる。
「3対1でも辛い状況だね。クーリッジ、楽しんでいるか?」
「楽しくはありますけど、やはり自信を無くしますね。ココまで強い生物がいたなんて驚きです。しかも、真澄さん以上に頭が回るから始末が悪い…」
今のはどう考えても褒め言葉ではないがスルーする。
まだ、戦意が落ちてないだけマシだ。
「頭が回る相手だって分かってるなら、雑な攻撃をしかけないの。今みたいにやられちゃうわよ。この戦いが終わったら、思考の耐久力もきっちり鍛えておきなさい」
お返しに説教しておく。
自覚があるのだろう。黙って私の言葉を聞いている。
都洲河相手に次があるかは微妙だが。
「想像以上に厄介だな、【魔王】というのは。【瘴気】の濃度が強すぎて応援が呼べん。なんとか俺達、3人だけでやるしかない」
フェビアンも会話に入ってくる。
こちらも直撃が入ったのに【魔王】はノーダメージ、ノーリアクション、ガン無視というショッキングな展開だった。
気落ちしていないといいのだが。
「全方位攻撃や飽和攻撃が使えればいいんだけどね。2人は持ってないの?」
高度な見切りを使ってくるなら避けようのない攻撃をぶつける。
私の発想は至ってシンプルだ。
もっとも全方位攻撃だと仲間にも被害が出るのだが…
「持ってはいるが威力が弱い。とても【魔王】に傷をつけるほどのものではない。威力のある全方位攻撃や飽和攻撃など本職の魔法使いでも持っている者は少ない。持っていてもチャージに時間がかかりすぎると聞く。俺達の本職はあくまで肉弾戦だからな…それにあのクレバーな【魔王】を相手にチャージ中の無防備な仲間を守りきるというのも不可能だろう」
そういえば、ディオクレティアヌスにダメージを与えたリヒャルトシュトラウスのアレは今にして思えば飽和攻撃だったのかもしれない。
とんでもなく時間がかかり、それでも腕が消し炭になっていたものな…
あれはディオクレティアヌスがこちらを舐めていたから成功したのか。
チャージに時間がかかり、代償を覚悟し、前衛がキッチリ仕事をこなして始めて飽和攻撃は放てるのか。
読んで頂きありがとうございました。明日の投稿もなんとか頑張ります。
ブックマーク、感想、評価、メッセージ等あれば何でもお待ちしております。
皆様のポチッとが私の創作の『知らなかった。シフォンケーキの型の代用に湯呑みを使えば良かったなんて。そりゃそうだよね。今度作ってみよう』(意味不明)ですので何卒よろしくお願いします。