第633話 春日井真澄VS魔王:都洲河廣晃①
戦闘の開始は突然だった。
「【九天必滅】】」
都洲河は目にも止まらない速度で間合いを詰め、超威力の右ストレートを放ってきた。
グレゴリウスを倒した技だ。
【魔力】を右腕に集め、凝縮した上で【エネルギー変換】を行い【威力強化】を実現している。
眩い光に包まれた拳が私に迫ってくる。
一瞬、避ける選択肢も浮かんだが、数多の戦闘で得た経験値が受け止めることを選択。
【神亀の加護】を発動させ、防御力を上げる。
途端に私の重量が数倍にも膨れ上がり、足が地面に沈みこむ。
しかし、防御力は桁違いに上がっている。
もはや、名刀程度では傷一つ付かない。
さらに【黄金気】を同時展開。
【加護】と【第三系統外】の同時使用で防御力を極限まで上げる。
ついでに素早さが通常状態まで戻った。
コントロールがシビアすぎるのが弱点だが【魔王】の技を正面から受けきるにはこのコンボを使うしかない。
【聖竜皇の竜眼】で着弾位置を予測。
都洲河の拳を正面から受け止める。
一瞬、驚いた顔を見せる都洲河。
このレベルの相手と勝負するのは久しぶりなのだろう。
都洲河が高速機動型でなくて助かった。
よりピーキーな操作を要求される高速戦闘はまだ、無理だ。
おそらく都洲河は私と同じ、重装甲、重火力の持ち主。
高い攻撃力と高い防御を誇るがスピードはそれほどでもない。
いうなれば重戦士のハイエンドだ。
攻撃は避けるのではなく、分厚い防御力で受けきる。
さらに都洲河は【高速修復】まで持っている。
躊躇なく肉を斬らせて骨を断つを実践できる戦闘スタイルだ。
本来なら、こんな近接戦闘は御免被りたい。
しかし、この距離は私の距離でもある。
「【黄金烈眞槍掌】】」
私の最強の必殺技を都洲河の心臓めがけて放つ。
こちらも【黄金気】を凝縮し作った槍を右腕に充填しているのだ。
直撃すれば、どんな相手でも落とせる自信がある。
しかし、とっさに左腕を入れ防御。
もはや、構成を解くことは不可能。
左腕ごと心臓を吹き飛ばすイメージで【黄金の槍】を解放。
違和感に気付いた都洲河は左腕を大きく逸らす。
「【竜皇封滅】」
そう叫ぶと都洲河の左腕が吹き飛ぶ。
左肩ごと吹き飛ばせたが、心臓は無傷。
やはり、ハイランカーの一角だけあって危機回避能力が高すぎる。
一発狙いは無理だ。
こんな神業を為せるのは何らかの【スキル】使っているのか、はたまた、無数の戦闘によって研ぎ澄まされた戦士の勘によるものなのか。
間違いなく、長期戦に、それも命と命を削り合う消耗戦になる予感がひしひしと感じられた。
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