第63話 エミリーは語るずっと真澄に感じていた違和感について
「しっかし、まさかエクストラクエストの報酬が次のエクストラクエストへの挑戦権とは完全に詐欺だよな~」
情報管理局を出た私達は口々に今回の報酬について愚痴を言い合っていた。
エミリーは報酬などなくても当然、人々の笑顔が報酬だと主張し私と渚はこれだけ働いたのだからこちらの予想以上の報酬があってしかるべきだと反論し和気藹々と時間が過ぎていった。
エミリーの泊まってるホテルが見え、ホテルの壁面にあった壁時計を読むと渚が急に立ち止まった。
「おっと、もう22時を過ぎてるのか。私はそろそろ、落ちるよ」
そう言ったがなかなか、別れの挨拶を切り出さない。
言うべきか言わざるべきか迷っているようだ。
ようやく、意を決して私達に言葉をかける。
「まあ、なんだかんだあったが楽しかったよ。次も誘ってくれたら参加してやらんでもないぞ。今回分の報酬を取り返せねばならんからな」
目を合わしてその台詞を言えれば100点だったがまだ早いようだ。
けれど、自分の素直な気持ちを表現するのが苦手な彼女がここまでストレートに言ってきたのだ。
私はそれだけで暖かい気持ちになれた。
「では、またな」
そう、別れの挨拶を告げると彼女は光の粒となって消えてしまった。
ちょうど、いいので私もここで落ちようとエミリーに声をかけようとすると、逆にエミリーの方から声をかけてきた。
「渚様も拠点に帰ってしまわれたようですね」
エミリーはどこかさびしそうで、しかし、なにか覚悟を決めたように話を続けた。
「以前も聞きましたがホーム、拠点に戻るとおっしゃりますがそれはどこにあるのですか?」
その声のトーンは真剣そのものだ。
とても茶々を入れて誤魔化す類の問いではなく、私はしどろもどろになって答えた。
「えっと、深く説明すると難しいんだけど、ココとは別の異世界があって私達だけは往来が可能なんだけどエミリーは不可能というか…」
「よく真澄様やショウ様は異界人という言葉を使い、この大陸の人たちも異界人という言葉を使われますが異世界というものが本当にあるわけがないでしょう。それと以前から言おうと思っていたのですが真澄様達が使われる『階層』という言葉、これは間違えです。正しくは『大陸』です。地動説という言葉をご存知でしょうか? 我々が住んでいる星は球体をしておりまして、『階層』のように面が縦向きに並んでいるわけではないのですよ。なぜ、球体でも人が落下しないかというと…」
私が答えられずに黙っているとエミリーは解説を止めて、さらに決定的な言葉を吐いてきた。
「などと申し上げてきましたがそのような瑣末な表現方法などどうでもいいのです。私が一番気になっているのはここまで苦楽を共にして戦ってきたわたくしを時折、人形のように扱うことです。始めはわたくしが世間知らずのお姫様だからそのように扱うのかと思っていたのですが、あなた方は全ての人間に対して時折、無機的な人形のように扱います。さしずめ、わたくしはあなた方のお気に入りの人形といったところでしょうか。なぜ、あなた方はそうなのですか? 最初は他大陸の人間だから価値観が違うから仕方が無いと無理やり納得しようとしていました。けれどあなた方はわたくしたちと同じように笑ったり、泣いたり、怒ったり、悲しんだり、勇敢だったり、臆病だったり、どこともわたくしたちとは違いません。だからこそ、あなた方がわたくしを人形のように扱うことが許せないのです」
読んで頂きありがとうございました。明日の投稿は12時から23時ぐらいの間にいきたいと思っています。さて、18時から26時ぐらいの間に一本新作を投稿しようと思っています。このゲームで人を殺してなぜ悪い!?の現実世界編です。学園のカテゴリーに入れてるのにちっとも学園話ができないと先行して作ってみました。よろしければこちらもお願いします。ブックマーク、感想、評価も変わらずお待ちしております。




