第624話 作戦会議を始めます①
「作戦会議を開始します」
あの日、決戦指定日の深夜、単独での急襲。撤退戦。ヨウメイの殿。そして、生還を経た翌日、急遽呼びつけられた。
仕切っているのはヨウメイだ。
どうやら、皆、彼女に集められたらしい。
昨日の傷が嘘のように治ってイキイキしている。
元々、大きな傷はなく、限界まで【青気】と知力を消費したのだろう。
それでも、フェビアンが治したのだろう。
大きなあくびをしている。昨日も【白癒眠】が発動したと言っていた。
連発できるということはレアスキルではないような気がするが…
私の視線を感じると苦笑いを返してきた。
「作戦会議ってさ~そんなの意味ないじゃん、ヨウメイ。強いやつが次から次に来るんでしょう。いる人間が片っ端から当たるだけじゃん」
クーリッジが面倒くさそうに返事をする。突然の召集が面白くないようだ。
「そこ、うるさい! まだ、私の発言中だ。私語は慎め!」
「え~というか、なんでヨウメイが仕切っているのさ? 一番、最後にやってきたわけでしょう。しかも、一番弱いし~」
「その一番弱い私に引き分けたのはどこのどいつだ。私は真澄様の一番の従者だ。当然、仕切る義務がある」
なんだが、ヨウメイが張り切ってる。こんなキャラだっけ? 基本、無口で必要に迫られた時だけ大きな声で反論してくるって印象があったが。
「歴戦の勇士で名高いグラッドストン将軍がいるから安心して任せていたら、真澄様は単独で突撃。しかも、お頭も護衛に失敗してるし。ディズレーリ殿は何をしてたんですか! パフレヴィーさんは?」
ヨウメイが叱責すると2人とも何の返答もできなかった。ディズレーリは申し訳なさそうに、パフレヴィーはそもそも興味がないといった感じだ。
「どいつもこいつも役に立たない。しかも、全員が真澄様の戦略を理解していなかった。グラッドストン将軍と真澄様は戦略のすり合わせをしたのですか? してなかったんでしょう。してたら、グラッドストン将軍は絶対、総大将単独での突激なんて許可してないはずです。というわけでココで幹部級の意思疎通を完璧にするために、こうして会議を始めているわけです。仕切ってはいますが決定を下すのは真澄様が良いかと思います。それとも多数決にしますか? 既存の決定手段があるならそれに従いますが…命令系統はどうなってるのですか?」
そこで始めてヨウメイは声のトーンを落とした。あくまで司会進行を担当するらしく、決定は皆に委ねるようだ。
戦闘中にも思ったが本当に頭がいいな、この子。
「…いや、命令系統は決まってないな。今まで意見が割れたこともなかったからな…ヨウメイが仕切って、反対があればその都度、考えるぐらいでいいんじゃねえか?」
そう答えたのはディズレーリだった。大きくなった孫を見るような暖かい目をしている。2人は知り合いなのだろうか?
「それだと、議論がテンポ良く進まない可能性が高いのですが…まあ、それも意見が割れた時、決めますか」
ヨウメイはディズレーリの提案に納得はしていないが、意見は呑んだようだ。
ワガママも言わずに憎まれ役を進んで引き受けてくれる。
本当に得難い人材になったな。
「では現状の落とし込みから。真澄様の【聖竜皇召喚】のおかげで敵は大軍を動かせなくなりました。まずは【聖竜皇召喚】を阻止しないと一般兵に多大な被害が出てしまう。よって、最初に達人者級を送り込み、【聖竜皇召喚】を阻止するという戦略を取ってくるはずです。よって私達が取るべき選択は二択です。籠城するか、打って出るか。この読みに異議のある方はいらっしゃいますか?」
読んで頂きありがとうございました。明日の投稿もなんとか頑張ります。
ブックマーク、感想、評価、メッセージ等あれば何でもお待ちしております。
皆様のポチッとが私の創作の『快眠健康。これに勝る幸せはないな』(意味不明)ですので何卒よろしくお願いします。