第619話 トラップ使いVS次元斬り剣士⑦
不用意に跳んだの失敗だった。
敵が強ければ強いほど、着地狩りには注意しろとお頭から言われていたのにこの始末だ。
私には空中で進行方向を変える技術はない。
たとえあったとしても、ご丁寧に回避場所全てを潰された。
たとえ、このまま空中で待機できたとしても殺されるという念の入りようだ。
【次元斬り】の範囲攻撃とは卑怯すぎる。
こんなの死ぬ以外、選択肢が残されていない。
こんなことなら、『保蔵の竹筒』も未完のトラップも出し惜しみせず、全部使っておけばよかった…
この後に及んでもったいないの精神が鎌首をもたげる。
うん!? 『保蔵の竹筒』!?
そうだ!
私は一か八か『保蔵の竹筒』を起爆させて、【黄金烈眞槍】を放つ。
次元の隙間を吹き飛ばそうというのではない。
後方に跳ぶための推進力としてだ。
問題は斬られた次元の隙間の先に抵抗力が働くかという問題だが…
角度がよかったのか、次元の壁にでも当たったのか、すぐに反動が来て吹き飛ばされる。
普段も、足に【青気】を纏い、なんとか吹き飛ばされずに耐えているのだ。
空中で使ったりすれば、体重の軽い私など簡単に吹き飛ぶ。
九死に一生を得たが、まだ危機は継続している。
問題はブレーキ。
そんなものは存在しないから、全力で【青気】を使い防御力をアップ。
吹き飛んだ先で大木に当たり、ようやく落下。
像にでも当たったような衝撃を感じたが、なんとか生きてる。
但し、下手くそな【青気】の運用をしたせいでもう【気】がほとんど残っていない。
もっと、上手く運用すれば後30分は戦えたのに。
悔しい気持ちは切り捨て、すぐに三栗原の位置を確認。
追撃がくる前に態勢を整えないと死ぬ。
息も絶え絶えに遠目で三栗原の姿を確認すれば、なんと武器をしまっている。
私が死んだと勘違いしたのか!?
千載一遇のチャンス!
このまま、逃げてもいいがココまで【次元斬り使い】を追い詰めたのだ。
同じ状況など二度と作れない。
後は無防備な背中か脚に一太刀入れれば済む話だ。
背中では殺しきれないかもしれない。
当初の予定通り狙うなら脚だ。
だが、私は遠距離攻撃を持っていない。
ナイフの投擲でも覚えて入れば、安全かつ確実にダメージを与えられるが…
いや、駄目だ。腕を切り落としても平気な顔で戦闘を続けたようなバトルジャンキーだ。
脚を切り落とすぐらいのことをやらないと私のトラップからも逃げられそうだ。
死を覚悟した突撃を行うしかない。
しかし、私のか細い腕ではいくら隙だらけといってもクリティカルヒットなど望めない。
もっと強力な武器が必要だ。
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