第611話 トラップ使いVS次元斬り剣士③
二発目の次元斬りも回避成功。
三発目は使ってこず、様子を見ている。
二連射が限界なのか?
一太刀で終わると思っていたのに二の太刀を使い、あまつさえ、私が生きている。
私と同じでメンタルが弱いタイプなのかもしれない。
いずれにせよ、【次元斬り】の範囲は特定できた。
全神経を回避に集中すればなんとか避けられる。
これなら千日手に持ち込める。
「【青気】は回避特化なのか…質々浜からもっと聞いておけばよかったか。それにどうしてか、ステータス以上の動きをしている。頭の回転が早いのか。私の癖まで見抜いてくるなんて気持悪い。面倒くさい相手ね」
三栗原も私を警戒している。
千日手に持ち込むためには回避だけではまずい。
露骨な時間稼ぎだと分かれば、ターゲットが真澄様に移ってしまう。
こちらからも攻撃を入れ、三栗原の警戒値を上げなければならない。
戦闘を演出するのだ。
最強クラスの攻撃力を持つと言っても、最強クラスの防御力を持つとは限らない。
剣士のほとんどがそうであるように、三栗原も回避重視の軽装甲だ。
攻撃を当てさえすれば、私でも勝てる。
そのためには奴の剣界を凌がねばならない。
あまり長考しては次の【次元斬り】がくる。
こっちはスタミナ切れという爆弾も抱えているのだ。
戦闘をしながら考えるしかない。
いつものように『爆煙筒』を投擲。
クーリッジのように不用意に竹筒を斬らず、大きく間合いを取って交代。
己の力に慢心せず、雑魚相手にも警戒を緩めない。
厄介な敵だ。
爆煙筒が無事、作動し周囲一体の視界を遮る。
【気】の探知で三栗原の大まかな位置にあたりをつけ、『強酸の竹筒』を投擲。
しようとした瞬間、かまいたちのような剣閃が私に向かって飛んでくる。
慌てて、宙に飛び回避。
この煙の中でも私の位置を正確に把握しているのか?
奴は【気使い】ではない。どうやって?
いや、私のいた方角を狙って適当に撃っただけかもしれない。
【爆煙の竹筒】の効果も永久ではない。
警戒しながら、近づくしかない。
念のため、大きく右方向に迂回し近づく。
【気配断ち】はもちろん、使っている。
三栗原は動いていなかった。
音も立てず、『強酸の竹筒』を投擲。
しかし、最小の動きで躱される。
何で? 【剣士の直感】というやつか!?
次に反応できた時には完全に間合いを取られていた。
どう動いても死ぬ。
仕方がない。三栗原が剣を振るうよりも先に『保蔵の竹筒』を発動させる。
真澄様の【黄金烈眞槍】が発動し、三栗原の左腕が吹き飛ぶ。
流石の三栗原も大きく後方に引いてくれた。
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