第61話 生仁目は語るエキストラクエストの報酬と自分の身の上について
「次のエクストラクエストへの挑戦権です」
「なに~!!!」
私達はきれいにハモって叫んでいた。
「きれいにハモったわね。これはエキストラクエストをクリアしたパーティはみんなやるのよ」
「そんな!? アレだけの強さを持った敵だったんだぞ。それが報酬ゼロということはありえないだろう」
「う~ん、エキストラクエストの第1回目を達成したパーティの初報酬はみんなそうなのよ。普通はパーティーの連携を確認するためにもっと簡単なのを選ぶのよ。渚ちゃんは自分がパーティリーダでエキストラクエストをクリアしたことはなかったでしょう?」
くっ、渚の奴、あれだけ偉そうに指図していたのにまさか、エキストラクエストのパーティーリーダーの経験が無かったとは…
これでは本当に骨折り損のくたびれ儲けだ。
なんだが、ドッと疲労感を感じてきた。
「まあ、エキストラクエストってパーティ用の賑やかしの側面もあるから、わらしべ長者みたいに最初はしょぼいけど、ドンドンクリアしていけば最後の方は凄いらしいわよ」
生仁目さんが慰めにもならない慰めを言ってくれるが私達の目は既に死んでいた。
「仕方がない。なんだかひどく気落ちしてるようだから、お姉さんがボーナスをあげようか?」
おおっ、さすがは【アクトレスプレイヤー】、そんな権限まであるのか!? 私達は一転、目の輝きを取り戻して生仁目さんを見た。
「次の最新作の【エキストラクエスト】を入荷したら教えてあげる権利なんてどうかな?」
おいおい、【エキストラクエスト】って入荷するもんなのかい! しかも、次の【エキストラクエスト】の挑戦権とかぶってるじゃないか!
私が心の中で突っ込みをいれたのがばれたのか生仁目さんは別の報酬を提案してきた。
「じゃあ、【エクストラクエスト】と神々との関係についてってのはどうかな?」
報音寺が言ってたアレか。
「もしかして、【エクストラクエスト】の中には【神託クエスト】っていうものがあり神と接点があるって話ですか? それとも【エクストラクエスト】っていうのは暁の12賢人の革命以後、政府の意向で実装されたものだから矛盾や齟齬があるって話ですか?」
「ええっ、そこまで知ってるのか。これじゃあ、ボーナスにならないな。けど、矛盾や齟齬っていうのは少し違うかな。矛盾や齟齬というのはあくまで私達目線での話、実際のNPC達の中では矛盾も齟齬もなかったでしょう。お察しの通り情報管理局は神々と呼ばれる存在と契約し、【エキストラクエスト】のいくつかには神々が関与してるのよ。まあ、下級神が多くて上級神なんてほとんどいないんだけね」
生仁目さんはドヤ顔で答えてくれた。なんか腹が立つんで私はずっと思ってたことを口にしてみた。
「あなたは一体何者なんですか? 【神託クエスト】を私達に受けさせたり、ワザワザ嫌がる報音寺君を推薦したり、なんだか恣意的なものを感じるですが」
「その質問が出ることが素人である証明だよ、真澄ちゃん。そういうのはもっと自分のレベルを上げて自分で暴かないと。けど、あえて答えるならあなたと同じ巻き込まれた人間ってとこかな」
「巻き込まれた人間?」
「ヒントは祥君のお姉さんってトコかな。私は祥君のお姉さんと同級生なのよ、不幸なことにね」
「あの5年間フルダイブ中いう?」
「そっ! いてもいなくても迷惑なやつなのよ。まあ、なにか困ったことがあったら声をかけてね、ヒントぐらいは上げれるかもしれないから」
生仁目さんは茶目っ気たっぷりにウィンクをしてそう答えた。
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