第608話 死地に赴くヨウメイは過去を省みる。あの方のことは真澄様と呼べ⑬
結果、私が選んだのは投木だった4人衆に台座、照準、射出、装填を割り振り、超速度でぶつける。
対軍用トラップとして使うために丸太は既に用意してあったのは幸いだった。
最初の3本目だけ、お頭に【白気】で強化してもらい攻撃威力を上げる。
時間やお頭の回復具合から強化は5本が限界だった。
この5本だけは直撃すれば即死を免れない威力になっている。
5本の内、3本を最初に使うのは見せ球としてだ。
私達が直撃を喰らえば、即死だ。しかし、相手は達人者級。
おそらく、素直に喰らってはくれない。
しかし、当たればマズイぞと思って避けられるのと、当たっても大したことがないと思って避けられるのでは同じ回避であっても中身がまるで違う。
稼げる時間も違ってくるだろう。
そう思い段取りしたが【次元斬り】を防御に使うのは想定外だった。
必殺必中の超奥義として【次元斬り】を使ってくるかと思っていたが、何のありがたみもなく連射してくる。
どうやらほぼ無尽蔵に【次元斬り】が使えるようだ。
しかも、私の3本だけ強化した丸太の仕掛けもバレてるっぽい。
斬った時の感覚で分かるのか。
【次元斬り】が無くても、剣士として超一流の相手なのか。
いや、剣士として超一流であったが故に【次元斬り】にまで到達できたのか。
まずいな、あのクラスが相手だと、遠距離攻撃対策は…
やはり、していたか。
剣圧でかまいたちのようなものを発生させ、4人衆をまとめて吹き飛ばした。
皆、生きてはいるが、必死の形相で逃げている。
あれだけの恐怖を味わえば、しばらくは【気】の精製ができないだろう。
しかも、たったの一撃で、剣士殺しの私のトラップが破られた。
一般的に強さのレベルが上がって行けば行くほど弱点は無くなっていく。
戦闘経験値が貯まり、自分がどういう状況に弱いのか冷静に考えていくからだ。
それらを考えない馬鹿はどれだけ突出したスペックがあろうとも手玉に取れる。
しかし、敗北のたびに学習し地道に弱点対策をしてくる奴は本当に手強い。
遠距離攻撃、近距離攻撃、物理防御、魔法防御、回避、回復。自分の得意を活かし、自分の苦手を消す戦術を取ってくる。
剣士を相手にするときは遠距離攻撃で近づかなず殺すや、ダメージ覚悟で近距離戦を挑み、敵の紙装甲をぶち抜くという戦術が有効だとされているが、【次元斬り使い】には通用しないだろう。
サ・ソウトウ達、4人の援軍は望めない。お頭も回復が終わっていない。真澄様を戦わせるのは論外。
だとしたら、私が囮役になるしかないか。
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