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第554話 死地に赴くヨウメイは過去を省みる。あんな奴、あの女で十分だ①

◇◆◇




 お頭が護衛について、ようやく真澄様が離脱してくれた。

 説得には時間がかかった。

 戦闘開始前に私を疲労させてどうするつもりなのだろう。

 それでも最後は歯切れこそ悪かったが私を信じて任せてくれたようだ。

 あの春日井真澄に任されたと思うと不思議な力が湧いてくる。

 春日井真澄。随分と不思議な人だ。私が出会った中で間違いなく始めて出会うタイプの人間だ。

 聞けば異界人だという。

 異界人というのは妙な人種で他大陸から流れついた人間のことだ。

 大体、一万人に一人ぐらいの割合で存在しているという。

 なんでも強くなったからこの大陸にやってきたとのことだ。

 様々な特徴があるが中でも最も有名なのは全員が抜きんでた強さや革新的な才能を持っていることだ。

 噂レベルの話では夜になるとふらりと姿を消すなんてのもある。

 実際、真澄様も深夜になると完全に姿を消して焦った。

 武者修行のためにこの大陸にきたせいだろうか、心が荒んでいる者も多いと聞く。

 特に顕著なのは人をまるでモノのように扱う点だ。

 お頭の師匠である 伝説の黒佐賀王もそうだという。

 自分の仲間・部下・弟子に対しては親切極まりないが、それ以外には容赦が無かったという。

 であるにもかかわらず真澄様は私の命にやたら拘った。

 というより、敵の命にも拘っている節がある。

 北の砦襲撃後の急な方針変更には正直、ブチキレた。

 さっきの問答だって予期せぬ応援が入ったのだ。儲けものと思って、さっさと離脱すればいいのだ。

 無論、私とて宣言した通り、負けるつもりはサラサラ無い。

 私が勝てば、ラッキー。私が負けても逃亡のための時間が稼げたと思えばいいだけのことだ。

 何しろ真澄様が負ければこの戦争は終わるのだ。

 たった一人の存在に戦争の帰趨が集約される。あれが英雄というものか。

 一体どんな気持ちで戦っているんだろう。

 私に取ってはお頭が絶対だった。

 私には【気】の才能がまるで無かった。

 本当は真澄様のようにお頭をも驚かせる【白気】の後継者になりたかった。

 しかし、発現したのは【青気】。それも実戦でも使えないレベルの【青気】だ。

 実は密かに今でも鍛錬はしている。しかし、モノになる気配はまるでない。

 たぶん、一生無理だろう。

 代わりに【トラップ設置】能力を磨いた。

 盗賊団に所属しているせいで昔からトラップに接する機会は多い。

 私にはなぜか、皆が苦戦するトラップの構造が簡単に分かるのだ。

 構造が分かれば解除も容易い。

 私より【気】の扱いが上手い人間が面白いように私の【トラップ】には引っかかる。

 あのお頭ですら引っかかったことがある。

 流石に怒られるかと思ったが、むしろ喜んでくれた。

 自分の修行にもなるから、もっとじゃんじゃんやれと言ってもらえた。

 嬉しくなった私はさらにトラップを量産していく。

 夢中になって練習していくと【トラップ】の【スキル】が発現した。

 気が付けば、お頭以外の全ての人間をトラップに嵌めれていた。

 私が殺ろうと思えば、全員殺れるのだ。

 本音を言えばお頭も殺れると思う。

 技術の粋を結集し、2重3重のギミックを仕込み、20個、30個と設置すればの話だ。

 【トラップ】とは嵌め技のことだと私は考える。

 対象の回避能力、防御力、トラップ解除能力、全てを計算して生きる目を完全に潰せば、どんな人間でも殺せる。

 けれど、それをやれば多分、私は壊れてしまうと思う。

 自分自身を嵌めてしまうのが【トラップ】のスキルの真に恐ろしいところだ。


 読んで頂きありがとうございました。明日の投稿もなんとか頑張ります。

 ブックマーク、感想、評価、メッセージ等あれば何でもお待ちしております。

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