第552話 決戦前夜⑭
コイツは私がきっちり倒す。
そう決心したその瞬間、上空から突如、巨大な丸太が降ってくる。
何だ!??
一本だけではない、次々と降ってくる。
降ってくるというよりは着弾するといった感じか。
大質量の丸太が凄まじい速度で飛来する。
一本一本がまるで鉄の杭だ。
直撃すれば、ただではすまないだろう。
私めがけてというよりは三栗原の周辺をめがけてだ。
なんだ!? 帝国の攻撃ではないのか?
三栗原は苛立って様子で【次元斬り】を使い、丸太を消している。
ふと、丸太が飛んできた方向を見れば小柄な女の子が私に向かって必死に手招きしている。
ヨウメイだ。
後ろにはフェビアンもいる。
ということは彼女の作ったトラップか。
フェビアンの奴、【フォリー・フィリクション・フロック】を巻き込んだのか。
最も合理的答えだが、最も愚かな選択だ。
【フォリー・フィリクション・フロック】のメンバーは皆、総じてレベルが低い。
最高レベルのフェビアンですら、あれほどのダメージを受けたのだ。
【フォリー・フィリクション・フロック】のメンバーが参戦などすれば皆殺しにされるぞ。
既に戦場は高レベル同士の潰し合いになっているのだ。
レベルの低い者が戦場をうろつけば、流れ弾だけで死んでしまう。
自分の苛立ちを押さえこみ、今はまず行動に移る。
丸太が飛んでくる先には私が倒した4人衆がいるのが見えた。
巨大な丸太を台座役、照準役、射出役、装填役の4パートに分けて撃ちだしている。
どういう芸当だ。
三栗原は降ってくる丸太の処理に追われ、私への警戒が疎かだ。
この機に乗じて合流する。
合流して、最初に交わされた言葉は撤退についての段取りだった。
だが、私は三栗原を倒さなければならない。
あいつにPKの何たるかを教えてやらねばならない。
「人の上に立つ人間が感情で動くな。どんな挑発を受けたかは知らんが、トップが感情で動けば多くの人間が死ぬぞ。そこまで優先すべき感情なのか?」
見かねたフェビアンが適切な指導を入れてくる。
痛っ…
確かにその通りだ。ココで引き際を誤っては4人衆は元よりフェビアンやヨウメイも巻き添えをくう。
それに私が負ければ【聖竜皇召喚】という切り札も無くなり、戦争に負ける。
私が生きていることによって展望が開くのだ。
軽々しく命を賭ける立場ではなくなったということか。
だが、この戦力で本当に逃げ切れるのか。
私の心配をよそに、三栗原は巨大丸太の着弾パターンを完全に見切り、射出口を潰した。
サ・ソウトウ達が散り散りに逃げるのが分かった。
遠距離攻撃も持っているのか。
やはり、アイツを倒さないと逃げることすらできなさそうだ。
私がヨウメイ、フェビアンの前に立ち、2人を守ろうとするとヨウメイが前に出てきた。
「この山は私の庭です。好きにはやらせませんよ」
そう言って私の代わりに戦おうとする。
アイツにちゃちなトラップなんて効かないぞ。
何をするつもりだ。
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