第55話 ワガママで可愛くて自分だけ助かるなんてことは絶対しないNPCです
触れれば即・行動不能の猛毒を持った剣が人体の弱点の一つである私の首を正確に狙ってくる。しかし正確であるがゆえに読みやすい。あの剣王の斬撃と同じだ。
まずいのはあの剣単体だ。しかし、剣を咥えている間は炎のブレスは撃てないはず、まずは武器破壊、剣の無効化にのみ集中しなければ。
この情報体は痛みを感じない、ならば注意すべきはHPの下限管理だけ、炎は回避すると他の頭から毒の剣攻撃が飛んでくるのであえて受ける。
二つも三つも同時行動はできない、そうであるならばもはや天都笠さんの回復は諦め、この頭はソードパープルヒュドラ打倒のみを考える。
私とエミリーが胴体に必殺技を叩き込んだのにソードパープルヒュドラはなんの痛みも感じさせずに活動している。やはり弱点は胴ではなく頭なのか!?
目の前のモンスターの特性を考えながら、なおかつ、回避にのみ専念し、エミリーの様子を見ると作戦を無視し無謀な突撃をした人間と同じ人物とは思えないほど堅実な防御に徹している。彼女とてみすみす命をくれてやるつもりなど毛頭ないのだ。
エミリーが2本の首を完全に押さえてくれるなら私の敵は火を吹く頭と猛毒の剣を持った頭の2本のみ。
「眞意一刀・白」
限界までひきつけておいての回避が成功したおかげでソードパープルヒュドラの猛毒の剣が大きく空振る。その瞬間、私の必殺技をぶち込む。
剣の破壊にこそ失敗したが猛毒の剣ははるか後方まで吹っ飛んだ。
よし、こちらはクリアだ。このまま、エミリーの援護に入り順次、猛毒の剣のみを排除し、その後、4本の頭をつぶす! 私がそう考えた瞬間、猛毒の剣を失った2本の頭は同時に炎のブレスを吐いてくる。この大火力はまずい、私はたまらず空へ逃げる。しかし、この行動はソードパープルヒュドラの予想通りだったのだろう。エミリーの方にいた2本のうちの1本が私の回避方向の先にいて、まともに猛毒の剣をうけてしまった・・・
しまったと思ったが後の祭り、またしても行動不能、しかもHPがドンドン減っていく。
そんな私を見たエミリーは私に毒消しを使おうとするがその隙を見逃してくれるほど甘い敵ではない。私の回復など諦めて防御に専念すればもう少し生きていけたものを・・・とうとうエミリーも毒の剣をまともにうけてしまう。
くそう、万事休すか・・・
読んで頂きありがとうございました。明日は日曜日(休み)なので投稿時間が未定です。まだ、書いてはないのですが13時から23時59分のいずれかの時間に投稿すると思います。よろしくお願いします。




