第543話 決戦前夜⑤
いいのをもらってしまった。
HPが一気に減った。
この先の行程を考えるとココまで減らされるのは非常に不味い。
生きて戻れるかな…
「海老名さんも参加してたんだね」
トークで引き伸ばし、回復と戦闘回避の方法を模索する。
しかし、隙など一切無い。
獲物を狙う鷹のように私の一挙手一投足が観察されてた。
「ありがたいことにね。生徒会執行部の初任務よ。もっとも、私だけじゃなくて、かなりの数の動員がかけられているみたいだけどね」
我孫子の奴、容赦ないな。帝国兵の方が数に勝るというのに個の質まで揃えてきたのか。
本気で私達を潰しにきている。
「降参なさい、私だけじゃなくて都洲河君もいるのよ。さっき、巨大竜を倒したのを見てたでしょう。アレは三栗原よ。私も見たことのない装備で臨んでいるわ。おそらく、あれが三栗原の最強装備。野良バトルの時と違って皆、将来がかかっているのよ」
あの時も皆、大概、本気だと思ったが。
装備の質や心構えが違うということか。
コストをかけて私を倒しにきていると。
「あいにくと私は敵方の首魁でね。そう簡単には降参して上げられないのよ」
「ふ~ん。その返事で安心したわ。もし、降参するって言ったらこの場で心臓をえぐりだしてもの。これで心おきなく殺れるわ。あなたとは出し惜しみなしの全力でやりたいと思っていたのよ。レベル4と侮っていたけれど、まさか戦争を主催するほど、大物になるとは思わなかったわ。あなたを倒しこの戦争を終らせる」
それは主人公である私の使う台詞だ。腹立つな~
こちらもお得意の精神口撃で時間を稼ぐか。
「見たところ海老名さんは無手で戦う戦闘スタイルだったと思うけど。だったら、結果は前回と同じだと思うけど~」
「あの程度の野良バトルだけで私の底が図れたと思われるのは心外だわ。普段は幻体術だけで全てが事足りる。けれど、真の強者に対してまで切り札を温存する必要はない。【幻光闘法】の真髄を見せてあげるわ」
そう言うと両腕が光りだす。あのエネルギー凝縮量! 間違いなくヤバイ。直撃をもらえば身体に大穴が空く。
まずい。
前回と同じ緩急をつけた歩法で接近してくる。
その歩法の攻略法は見つけている。
しかし、あの腕に触れれば終わるという恐怖感のせいでなかなか接近できない。
一方、海老名の放った拳は岩をバターのように溶かす。
【熱】か【消滅】の効果を持つ、【オリジナルスキル】なのか!?
これは長くは持たんぞ。
そう思った、まさにその時、まんまと密閉空間に誘導されてしまった。
これで逃げることもできなくなった。
海老名の拳が目前に迫る。
しかし、その瞬間、人相の悪い1人の男が、私の前に立ち、海老名の攻撃を無効化する。
間に合った!
不敵な面でフェビアンが海老名を相手に対峙していた。
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